2022年3月7日月曜日

ロシアのウクライナ侵攻に乗ずるな!

・まさかと思っていたロシア軍のウクライナ侵攻が始まった。プーチンがやっているのは許されない暴挙だと思うし、世界中の非難に応えて、すぐにでも軍を撤退させるべきだと思う。ただし、なぜプーチンがこんな決断をしたのかについては、ことの善悪とは別に考えておくべき事態だと感じた。 

・プーチンが進攻の一番の理由としてあげたのは、ウクライナが「NATO(北大西洋条約機構)」に入る希望を持っているという点にあった。「NATO」はソ連と旧東欧諸国が’結んでいた「ワルシャワ条約機構」に対する西側諸国の軍事的同盟だが、ソ連が崩壊して「ワルシャワ条約機構」が解消されても、残り続けてきた。しかも、ソ連崩壊によって共産党政権を倒した東欧諸国や、新たに独立した国々の多くが(EU)と同時に{NATO}に加盟することを望んだのだ。

 ・ソ連崩壊後のロシアには政治的にも経済的にも、そして軍事的にも周辺諸国に影響を及ぼす力はなくなっていて、「ワルシャワ条約機構」も解消したのだが、「NATO」は解消どころか拡大した。さらにウクライナが加盟すれば、ロシアにとっては緩衝地域がなくなるわけで、それは絶対に許されないというのがプーチンの主張だった。 

・プーチンにはもう一つ、ソ連崩壊時に独立したウクライナ(小ロシア)とベラルーシ(白ロシア)を一つに戻したいという「大ロシア主義」の考えがある。実際二つの国にはロシア人が多く住む地域があって、ウクライナの東部にあるドネツクとルガンスクはロシアから国家承認された。しかしウクライナやベラルーシの側から見れば、必ずしも一体のものではない。そもそもウクライナには帝政ロシアの時代における抑圧や、ナポレオンやヒトラーが行ったロシア遠征の戦場になって膨大な戦死者がでたという歴史もある。

 ・このように、ロシアのウクライナ侵攻の裏には複雑な問題がある。しかし、そんなことなどお構いなしに、ロシアを中国に置き換えて、日本の危機を訴え、軍備の増強や、アメリカとの連携をさらに強化せよといった主張をする人たちがいる。安倍前首相はアメリカ軍が所有する核を日本が独自に使えるようにすべきだとする「核共有」を唱えはじめている。まるで火事場泥棒のような発言で、台湾問題と併せて、中国をイライラさせるだけのばかげた発言だと思う。 

・こういう時には強気の発言が共感を呼びやすい。しかし、一部にはロシアと長い国境で接しているのに「NATO」には加盟していないフィンランドを見習うべきといった指摘もある。アメリカが言う対中包囲網に積極的な同調をせず、アメリカと中国に対してうまくバランスをとってつきあう外交努力が大事だとするものだが、日本の貿易相手国の1位が中国で、2位がアメリカであることを考えれば、極めて当たり前のやり方だと思う。

 ・ロシアがチェルノブイリを占拠しただけでなく、ウクライナ最大のザポリージャ原発を攻撃して占拠したのには恐怖を感じた。原発が攻撃目標や占拠の場所になることが現実化したわけで、日本海沿いにずらりとある日本の原発をどうすべきか。まったく無防備なこちらの方こそ現実的な問題で、核共有などという戦争ごっこに興じている場合ではないのである。

0 件のコメント:

コメントを投稿

unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。