・今年の冬は寒い日が続いた。ほとんど雪も降らなかったから、からからに乾燥して、庭を歩くと落ち葉がかさかさと音を立てて崩れた。薪の消費量も多くて、十分だったはずが、少し心細くなってきた。
・隣の土地の所有者が木を伐採したせいで、見通しがよくなったが、家の中も明るくなった。それが辺り一面の雪景色になると、雪に反射した明かりも家に差し込むようになって、今までにない明るい部屋になった。これはこれで悪くはないが、パカーッと開けた景色は、雪が降ってもやっぱり間延びした感じだ。
・2月の10日から11日にかけて降った最初の雪のために、入試の業務があった大学へ行くことができなかった。その旨、連絡して久しぶりの雪かきに精を出した。たまにだと楽しいが、後になると腕の筋肉や腰が痛くなった。予測されたほどの量ではなかったとは言え、あたりの様子はまったく一変した。
・ところが、14日にまた大雪で、これは風混じりで15日の朝まで降ったから、長靴が沈み込むほどの積雪になった。まだ痛みが残る体にむち打って、朝から2度目の雪かきをした。歩き回れるほどの幅で、家や工房の周囲と、道路までの道をかいたが、今度の雪は少しべたついていて、その重さが腕や腰に響いた。
・最後に車の雪を落とした頃には、もうくたびれ果てていたのだが、パートナーが「かまくら」作ろうかと言い出した。確かに雪はたっぷりとある。ベランダの雪を下に落とした所には、すでに小山ができていた。一休みするとその気になって、かまくら作りに取りかかることにした。
・2mほどの高さに積んだところで、穴を開け始めた。外の大きさと中の広さを確認しながらの作業だから、出たり入ったりの繰りかえしで、もう体は限界に近かったのだが、パートナーが練炭コンロにストーブの炭を入れて、餅を焼きはじめた。チーズを載せてのりで巻いた磯辺巻きを3つ食べると、また少し元気が出てきた。そう言えば、もう昼に近い時間で、3時間以上も雪と戯れてきたことになる。もう少し大きくしたいという気持ちもあったが、体と相談して、一応完成ということにした。
・「かまくら」は新潟県の魚沼地方では「ほんやら洞」と言う。豪雪地帯で昔からおこなわれてきた豊作祈願の伝統行事で、水神様を祭ったりするのだという。中に入って過ごすほどの空間はないが、それなりに雰囲気はできている。早起きのパートナーは翌朝、日の出前に、蝋燭を灯しに外に出て、かまくらに入ったようだ。ブログに載せる写真のため。というわけで、僕も拝借して載せてみた。