・もっとも3.11以降、原発再稼働や辺野古基地、そしてTPPや戦争法案といった問題について、新聞やテレビ各社の姿勢や論調がずいぶん違うという現象が起こるようにもなりました。ニュースの取り上げ方や時間の長さ、新聞の記事の大きさ、あるいは一面掲載の仕方の違いが、現政権に対する距離の違いであることが、あからさまになってきたようです。そんなことが気になっていた時に、各新聞社の主な記事を比較するメルマガの存在を知りました。
・「Uttiの電子版ウォッチ」という名で発行者は内田誠さん。彼は長いことテレビやラジオのニュース番組などでレポーターをやってきた人で、僕が会員登録をしている「デモクラTV」の中心スタッフでもあります。「デモクラTV」は中味がずいぶん豊富になっていて、愛川欽也の「パックインジャーナル」を引き継いだ「本会議」のほか、多様な番組がつくられています。内田さんも「ウッチーのデモくらジオ」(金8:00p.m.)という2時間のDJ番組をやっていて、僕は毎週聞いています。そこでの発言に共感することが多かったので、新聞の記事比較をメルマガでやるという話に、すぐに乗って購読を始めました。購読料は月額324円で、日曜と祝祭日以外の毎日発行です。
・「Uttiの電子版ウォッチ」が比較するのは「朝日」「毎日」「読売」「東京」の4紙です。「産経」や「日経」を取り上げないのは、比較するまでもないという、彼の判断によっています。現政権を支持する御用新聞であることは明白で、それなら「読売」もいらないとも言えるのですが、比較するのに1紙は必要なんだと思います。何より「読売」は発行部数世界一位の新聞なのですから、無視できない力を持っているのです。
・4月から始まって現在まで、7ヶ月で165号になりました。現政権を支え続けている「読売」と、安倍批判を明確にしている「東京」の違いは言うまでもありませんが、あいだの「朝日」と「毎日」のぶれ方がなかなかおもしろいと思いました。批判はするけど、少し控え目にといった態度は、「東京」の記事や見出しと比較すると、よりはっきりしてきます。1紙だけではわからない、新聞社の立ち位置がよくわかるようになりました。たとえば、強行採決直前の9月17日の一面見出しは、各社次のようでした。
《朝日》…「安保 採決巡り緊迫」「参院委 総括質疑に野党抵抗」
《読売》…「安保法案 審議大詰め」「参院委開催巡り混乱」
《毎日》…「安保法案 最終攻防」「与党 採決譲らず」「野党は徹底抗戦」
《東京》…「安保法案成立へ 自公強行」「声に背を向け」
・並べてみるとなるほどという見出しの違いだと思います。半年以上このメルマガにつきあってきて、その間に戦争法案の可決や原発の再稼働、そして沖縄の辺野古基地をめぐる政府と県の対立などについて、新聞各社の違いがよくわかるようになりました。もっとも、このようなメルマガを毎日出すというのは、ずいぶん大変なことだろうと思います。多い日には7000字を超えるということもありますから、読み比べて考え、書く時間が一日がかりといったときもあるはずです。遅いときには夜の8時過ぎに届くといったこともありました。
・こんな努力を支えるためにも、一人でも多くの人に購読者になってほしいと思います。