2022年7月25日月曜日

ニュースはネットで

 
安倍元首相が銃弾に倒れてから、テレビはもちろん、新聞の論調に強い違和感を持つようになった。一番大きかったのは旧統一教会の名称である「世界平和統一家庭連合」を伏せていたことだった。ネットではとっくに明らかにされているのになぜ匿名のままで報じているのか。安倍や自民党に忖度しているとしか思えない情けない姿勢にうんざりした。

ネットではその間に、山上容疑者がフリーのジャーナリストに送った手紙や、彼自身のTwitterの書き込みなどが紹介され、その分析を詳しくする人も現れた。たとえばYouTubeでよく視聴している「一月万冊」というサイトでは、管理者の清水有高と元朝日新聞記者の佐藤章が、Twitterに書き込まれた山上の長大な文章を読んで分析していた。

彼が育つ中で経験した父や母、そして祖父との関係、そして母親が入信した旧統一教会のこと。そこから「世界平和統一家庭連合」教祖の暗殺を決意し、その狙いが安倍に代わったことなどが詳細に紹介されていて、この出来事が一時の思いや狂気の仕業などではなかったことが、よくわかった。ちなみに山上は自分がネトウヨで自民党支持であることを明言している。

山上の手紙は共同通信から配信されたが、すぐに削除されたし、Twitterヘの書き込みも凍結されてしまったようだが、マスメディアはほとんど言及していない。山上容疑者の精神鑑定をやるという警察発表がそのままコメントなしに新聞記事になっていたが、彼が正気で、極めて冷静に熟慮した上で犯行に及んだことは、Twitterの書き込みを読めば明らかである。

ネットでは旧統一教会から続く自民党を中心にした国会議員との関係が指摘されている。安倍、麻生、菅といった歴代首相はもちろん、高市、下村、稲田、高村等々の要職経験者が数多く挙げられていて、自民党はまるでカルト党かと疑いたくなるほどである。もちろん一部のメディア、たとえば週刊誌やタブロイド紙も追求しはじめているが、新聞やテレビは未だにここへの追求にはしり込みしたままである。

他方で、安倍の国葬についてもネットでは批判や反対運動の報道が目立っている。世論調査が得意な新聞社はなぜ安倍の国葬について是非を問う調査をしないのだろうか。安倍と統一教会との関係が祖父の岸から続くものであること、その思想の中に統一教会や日本会議と共通する部分があまりに多いことなどについて、大新聞は書く気がないようである。そして国葬自体を問題化するキャンペーンなども見受けられない。

このように、最近では、マスメディアよりはネット・ジャーナリズムの方が、はるかに信頼できるようになっている。ここで取り上げた「一月万冊」の他に、「デモクラシー・タイムズ」や鮫島浩の「Samejima Times」など、毎日のようにチェックしているものが少なくない。これらのサイトに共通しているのは、新聞社を辞めてフリーで仕事をしている人が多いことだ。その辞めた理由を聞くと、新聞社がいかにダメになっているかがよくわかる。

2022年7月18日月曜日

安倍元首相の死で見えてきた闇

 
安倍元首相が選挙演説中に手製の銃で撃たれて亡くなった。実行した山上徹也容疑者は、母親が入信した旧統一教会で自己破産をさせられたために、彼自身の人生が台無しにされたことを恨んでの犯行と自供しているようだ。安倍は実際、統一教会の広告塔のような役割をやってきたから、韓国にいる教会の教祖を襲うよりは狙いやすいと判断したようだ。奈良の西大寺駅前での犯行は、警護の不備もあって容易だった。

統一教会は文鮮明によって第二次大戦後に韓国で始まり、1954年に「世界基督教統一神霊協会」という名で創設された。日本では64年に宗教法人の認可を受け、「原理研究会」という名で大学生への伝道が始まり、68年には共産主義に反対する「国際勝共連合」が設立された。この設立には安倍の祖父である岸信介が協力したと言われている。統一教会は霊感商法や合同結婚式などで話題になり、批判を受けて、現在では「世界平和統一家庭連合」と名称を変えている。

このように、安倍と統一教会との関係は祖父の岸信介から繋がっている。岸は戦犯として裁かれることをまぬがれ、1950年代の後半に首相になり、60年に大きな反対運動があった中で安保条約を改定させた人である。その裏には当然だが、アメリカの思惑が働いていた。それだけでなく、戦後の日本の政治体制をどう作るか。平和憲法を制定し、同時に共産主義に対抗できる政党を組織して、アメリカに従う体制を作り上げるにはどうしたらいいか。その役割を担う人として岸が使われたと言われている。そして、統一教会を立ち上げた文鮮明との関係を取り持ち、国際勝共連合を設立したのもアメリカの働きによるものだったようだ。

安倍と統一教会との間にはこのような深い闇のような関係がある。そう思えば、彼が主張してきた政策の多くに統一教会の教義との類似点を見つけることはたやすい。反共産主義は言うまでもないが、「世界平和統一家庭連合」という名称のように家庭や家族に対する考えも似通っている。社会を支える基盤には家庭がある。だから夫婦別姓も、子どもを生産しない同性婚も認めることはできないし、LGBTなどのジェンダーフリーも性教育ももってのほかという主張だ。もちろん憲法を変え、軍備を増強させるという方向性にも共通点がある。そしてこのような主張は日本会議や神道政治連盟といった極右の勢力とも一緒だ。

安倍が首相として在任した間にやったことは、まさにアメリカの言うなりの「アメポチ」外交だった。安倍政権が長く続いたのは、その服従的な姿勢の他に、キリスト教原理主義を後ろ盾にリベラルな政策を逆戻りさせたトランプ元大統領との共通点の多さにもあった。何しろアメリカにとって、日本が属国のままでいてくれることが、何より重要なことであるから、安倍ほど扱いやすい政治家は他にはいなかったのである。長期政権を可能にした一番の理由がここにあったことは言うまでもない。

自民党を始めとして政治家の多くは、「世界平和統一家庭連合」が提供する資金や無償で働く秘書の世話になっているという。そのリストも公にされているが、マスメディアはそのことをいっさい追求していない。何しろマスメディアは選挙が終わるまでは統一教会の名前を出すこともしなかったのである。しかし、週刊誌やネットなどでこういった隠された実態が暴露されはじめてもいる。安倍という大きな箍(たが)が外れた今、これからどんな事実が闇からあからさまになっていくか。興味津々だが、それはまた日本の混乱と衰退を進める要因になるだろう。岸田首相は安倍を国葬にすると発表した。僕にはそれが日本自体の国葬のように聞こえた。

2022年7月11日月曜日

The Bandという名のバンド

 
theband1.jpg"ザ・バンドはボブ・ディランのバックとしてデビューした。ディランが生ギターからエレキギターに持ち替えた時期で、彼の信奉者たちのなかには拒絶反応を示す人たちが多かった。政治や社会を風刺したり批判したりするフォークソングはインテリの好む音楽で、ロックンロールは商業的なガキの音楽だと思われていた時代だった。

ただし、この『ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった』を見ると、彼らはロニー・ホーキンスのバックとしてカナダで1950年代の終わりに結成され、その後ディランのバックになったとあった。有名なのは1965年のニュー・ポート・フォーク・フェスティバルや、翌年に行ったロンドンのロイヤル・アルバート・ホールを始めとしたヨーロッパ公演で、客との緊張関係が伝わってくるステージは、今では伝説化している。

ディランが交通事故に遭ってウッドストックに隠遁すると、ザ・バンドのメンバーも移り住んで、レコード制作をした。ディランの「Basement Tape」とザ・バンドの「Music from Big Pink」で、ザ・バンドはこれを機に独立したバンドとして活躍した。ピーター・フォンダの『イージー・ライダー』に使われた「ザ・ウェイト」やディランの「アイ・シャル・ビー・リリースト」が大ヒットして70年代前半を代表するバンドになったが、1976年に最後のコンサートをしてバンドは解散した。そのライブは『ラスト・ワルツ』として映画にもCDにもなった。監督したのはマーティン・スコセッシだった。

その後メンバーはそれぞれ独立して音楽活動を続けたり、再結成されたりしたが、目ぼしいヒットは生まれていない。だから今では忘れられたバンドになったと言えるかもしれない。メンバーのうち、ベース担当のリック・ダンコ、ドラムスとボーカルのリヴォン・ヘルム、そしてキー・ボードのリチャード・マニエルは死んで、存命なのはガース・ハドソンとロビー・ロバートソンの二人だけである。

『ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった』はロビー・ロバートソンが制作し、彼自らがザ・バンドの歴史を振りかえって語るという構成になっている。その話を聞くと、知らなかったことがずいぶんあった。ロバートソン自身にはネイティブ・インディアンの血が流れていて、養子として育てられたことが明かされているし、少年時代からの仲間であったメンバーの結束の強さや、有名になった後の仲たがい、そしてドラッグやアルコールにおぼれたり、自殺をしたメンバーのことが語られている。ザ・バンドと一時期音楽活動を共にしたディランはもちろん、影響を受けたエリック・クラプトンやブルース・スプリングスティーンも登場して、70年代前半に輝いたザ・バンドのことが語られている。

このビデオを僕はAmazonで見つけて見た。最近はめったに聴くこともなかったが、改めて何度も聴き直した。フォークソングとロックンロールの融合、ビートルズやローリングストーンズなどに代表されたブリティッシュ・ロックとの出会いなど、ポピュラー音楽がエネルギーに溢れた時代に、ザ・バンドという名のバンドがいたことを、改めて思い出した。

2022年7月4日月曜日

デジタル化できない手続きにうんざり

 従兄弟が死んで仮の喪主になった時に、火葬の手続きの書類で難儀をしました。直筆で印鑑が必要だというので書類を郵送してもらい、届くとすぐに書いて送り返したのです。また、生命保険の受け取り人が僕になっていて、それを受け取るための手続きも直筆の書類でした。しかも免許証とマイナンバーのコピーを添付しろということでした。保険金自体は入金と同時に後処理を任せた甥っ子に振り込みましたが、その手続きはパソコン上で瞬時にすることができました。

退職をしたこととコロナの影響で、東京にはほとんど行かなくなりました。これからも特に用事がなければ行かないでしょうから、東京の金融機関に預けてある定期預金を解約しようと思いました。ところが解約は口座を作った支店に直接出向かなければできないのです。定期預金とは言っても利息は0.001%といったもので、ほとんど増えてはいません。ところがその解約にクルマで出かければ、高速道路料金とガソリン代で1万円近くかかってしまうのです。あまりに阿呆らしいので、いつになるかわかりませんが、何か用事ができた時についでに行くことにしました。

近くの金融機関で少額づつ貯めていた定期預金を解約してひとつにまとめることにしました。すぐにできるだろうと思って出かけたのですが、解約には一口ずつ書類を書く必要がありました。日付は令和で、住所は郡から、口座番号や預金番号を書いてハンコを押す。そんな作業を何枚もしなければなりませんでした。ハンコはどこでも買える三文判ですが、きれいに押してないものはすべてやり直しをさせられました。で、待つこと数十分。次にお金をまとめた新しい定期預金のための書類を書いて、また十数分。1時間以上もかかる作業でした。

こんな面倒な手続きは他にもたくさんあります。その多くはデジタル化すれば、家にいてパソコンやスマホでできるはずのことばかりです。直筆で記入といったって筆跡鑑定をするわけではないですし、押印といっても印鑑登録をしたものでなくてもいいのです。今までの慣例だからという以外に何の理由もないでしょう。マイナンバーを記入して、それを証明するカードや紙をコピーして添付するのは、一体何のためなのでしょうか。そもそもマイナンバーは今のところほとんど役に立たないもので、懸命の宣伝にもかかわらずカードは一向に普及していないのです。

こういう経験をすると、日本のデジタル化の遅さをつくづくと実感します。デジタル庁を作ったってうまくいくはずはないのです。ひとつひとつデジタル化できるところから地道に実現していく。そんな姿勢が国にも自治体にも企業にもまったくなかったのです。もちろん、今まで通りのアナログのやり方がいいという人はいるでしょう。けれども、アナログとデジタル、その二本立てでやれば、そういう人たちに無理やりデジタル化を強制する必要はないのです。

日本の経済が凋落した最大の原因が、このデジタル化の失敗にあったことは明らかです。率先してデジタル化を進め、ソフトを開発すれば、ハードの需要も増して、日本の半導体産業がこれほど衰退することはなかったでしょう。その遅れに気づいた時には中国はもちろん韓国や台湾にも負けて、立ち直れないほどになってしまったのです。さらに不幸なのは、政治家も官僚も企業家も、こういった現状に危機感を持っていないことにあります。ですから、日本はますます落ちていく。煩雑な手作業の手続きにうんざりしながら、こんな文句を言いたくなりました。

2022年6月27日月曜日

MLBを見ながらアメリカ野球の本を読む


フィリップ・ロス『素晴らしいアメリカ野球』(新潮文庫)


フィリップ・ロスの小説は、以前に『プロット・アゲンスト・アメリカ』 を取り上げたことがある。第二次世界大戦でアメリカが参戦しなかったら、その後の世界や社会はどうなったかという内容で、ユダヤ系アメリカ人である少年(作者自身)を主人公にしたものだった。極めてリアルな話で、読みながら、国のリーダーの政策次第で世の中が一変することを、ブッシュやトランプのやったことに重ね合わせて想像したりもした。面白かったから、別のものを読もうと思って探したら『素晴らしいアメリカ野球』があった。しかし、そのめちゃくちゃ加減にあきれて、途中で読むのをやめてしまっていた。もう一度読もうかと思ったのは、大谷選手の活躍を毎日応援しながら、メジャーリーグについて、おかしなところをいくつも感じていたからだった。

roth3.jpg 『素晴らしいアメリカ野球』は、第二次世界大戦中のメジャーリーグの1年を展開したものである。ただし、リーグは現実にある「アメリカン」や「ナショナル」ではなく「愛国」である。その中で中心になるのは「マンディーズ」というニュージャージー州のルパートという名の港町を本拠地にする球団だが、戦時下で兵隊などを送りだすために、港近くの本拠地の球場を陸軍省に接収され、一年間アウェイで試合をやらなければならなかった。その設定自体がめちゃくちゃだが、史上最高といえた投手が登場して、完全試合どころかすべて三球三振で終わると思ったら、最後の一球を審判がボールと判定したことで、投手が逆上して試合を放棄し、永久追放になるといった話になる。

アウェイで試合を続けるマンディーズは連戦連敗だが、レギュラー選手が兵役でいなくなったためにかき集めた集団だから勝つはずもないのである。片腕や、片足が義足の選手、また小人をピンチヒッターにして四球を稼ぐ戦術をとったりするが、まるでバスケットのようなスコアで負け続ける。ところがシーズンが終わりになる頃に突然連勝しはじめる。そして永久追放されたはずの元選手が来シーズンの監督になるというのである。しかもこの選手は、永久追放された後ソ連に渡って、スパイの訓練を受け、アメリカを混乱させるために、メジャーリーグを崩壊させる使命をスターリンから受けて帰国したのであった。この選手はギルガメッシュという名だが、そんな自分の経歴を野球愛に目覚めて暴露して、メジャーリーグの球団のオーナーや選手の中にソ連のスパイが入り込んでいたことを明かすのである。

スターリンがメジャーリーグにスパイを送り込んだのは、野球がアメリカの本質だと判断したからにほかならない。野球を潰せばアメリカも衰退する。それほど野球はアメリカ人にとってなくてはならないものだった。しかし、この本が書かれた1970年代の前半は、アメリカはベトナム戦争に負け、そのために経済が落ち込み、戦後の勢いが失せはじめた時期だった。戦後に人気を獲得するようになったアメリカン・フットボール(NFL)やバスケットボール(NBA)に押されてメジャーリーグの人気にも陰りが見えはじめていた。すでにアメリカ人にとって野球が心のよりどころではなくなりはじめていたのである。

この小説の題名は『素晴らしいアメリカ野球』だが、原題は「The Great American Novel」で、素晴らしいというよりは「最も偉大なアメリカ小説」というタイトルがついている。確かにプロローグでは、アメリカの文学史には必ず出るマーク・トウェインの『ハックルベリー・フィン』やハーマン・メルヴィルの『白鯨』、ナサニエル・ホーソンの『緋文字』が話題になり、それを登場したヘミングウェイがこき下ろすといった内容になっている。で、偉大なアメリカ小説のテーマは野球でなければならないということになるのだが、ロスはその後に続く野球物語をひどいどたばた劇にしたのである。

大谷選手の活躍を楽しみに欠かさず観戦しているが、コロナがおさまったのにスタンドが満員になることはめったにない。弱小チームの試合ではそれこそ閑古鳥といった状態だが、選手の年俸はうなぎ登りで、その収入減はテレビだという。しかしその視聴率も年々減少傾向にあって、選手も米国ではなく中南米の選手が主流になっている。アメリカだけのローカル・スポーツが多国籍化して、日本人選手が活躍するのは楽しいが、アメリカ人にとってはマイナー化しつつある。ロスはそんな現状を半世紀前に予測していたのかもしれないと思った。

2022年6月20日月曜日

庭の植物の生命力

 

それにしてもよく雨が降る。昼間はそれなりに暖かくなったが、朝方にはまだ灯油のストーブをつける日が少なくない。もっとも庭の植物はいつも通りに葉を茂らせ、花を咲かせている。カタクリの次には蕗の薹が出て、蕗が庭一面に広がった。今はミョウガの芽が伸びはじめている。いつもと変わらないが、驚くことがいくつかあった。

何年か前にパートナーが栃の実を川の土手に植えたら芽を出して、けっこうな大きさの木に成長した。ところが県が植物を伐採し、土石をさらう工事をして、栃の木も切られてしまった。その木の一部をテーブルの土台にして庭に埋めたのだが、5月になって芽が出て葉がつきはじめているのに気がついた。葉が出ているということは根も生えているのだと思う。まさかと思ったが、生命力に驚かされた。このまま新しい枝になって大きく成長するのだろうか。

forest184-1.jpgforest184-2.jpg


春先に雪が積もって、餌を探して庭に来た鹿が植物の葉を食べてしまった。カタクリに椿、そして青木の葉だった。残ったカタクリは種をつけ、椿も高いところの葉が残って元気だが、きれいさっぱり食べられた青木がしっかり葉をつけたのには感心した。あまり成長しないが、雪に長期間埋もれてもずっと生きているしっかりものだ。

forest183-2.jpgforest184-3.jpg


forest184-4.jpgもう一つ、これもパートナーが山椒バラの苗木をもらって植えたのだが、15年経って花と実をつけた。花はたった三つだったが、実はいっぱいついている。山椒バラと山椒は同じところに同じように生えていて、幹も枝も葉もよく似ているが、山椒バラは山椒の匂いがしない。そしてもちろん、山椒には花がつかない。我が家でも並んで植えてある。花が増えるとしたら、これからの大きな楽しみができた。

forest184-5.jpgforest184-6.jpg


週末になると湖畔は車と人でにぎやかになる。そんな人混みを避けて家にいることが多いが、ささやかながら楽しくなることがあった。次は、去年のリフォームで資材置き場にされたミョウガが実をつけてくれるかどうかだ。

2022年6月13日月曜日

エンゼルスと大谷の浮き沈み

 
今年のエンジェルスは出だしから快調だった。昨年ほどというわけには行かないが、大谷もそれなりに投げ、また打った。それが5月の後半からおかしくなり14連敗ということになった。それまで機能していた勝ちパターンが崩れ、勝っていても逆転される、点を取ればそれ以上に取られる、投手が好投している時は点が取れないというゲームが続いた。何しろ連敗中に1点差で負けた試合が半分もあったのである。

見ていてがっかりしたり、腹を立てたりの連続で、だんだん見る気もなくなったが、選手たちの焦りやいらだちは大変なものだっただろうと思う。もちろん、その理由には主力の故障やスランプがあった。去年もほとんど休んだレンドーンや、絶好調だったウォードが故障し、トラウトは30打席もヒットが出ないほど落ち込んだ。大谷も打ち込まれて防御率を1点以上落とし、ホームランもさっぱりという状態だった。でマドン監督の解任である。

実績のある名監督も手の施しようがないといった様子だったが、僕は連敗の責任のひとつに監督の采配、とりわけ投手交代があったと思った。勝ちパターンが崩れても、打たれた投手をくり返し勝ちゲームで使って失敗した。好投している若手の先発投手をピンチになったからといってすぐ交代させた。その度に、「何で?」と呟いた。もっともこのような投手起用は去年も感じていて、ダグアウトから出て行く時に、「誰か後ろからおさえろよ!」と言いたくなったことが何度もあった。

大谷選手が去年ほどホームランを撃っていないことについて、不振だとかスランプだと言う意見が多い。しかし、僕は去年の前半ができ過ぎであって、最近の調子は去年の後半と同程度だし、このまま行けば30本以上のホームランを撃つことになるのだから、それで十分じゃないかと思っている。投手としては、とんでもなくすごい投球で相手をねじ伏せたかと思うと、四球やホームランで早々点を取られる試合もある。差し引きすれば去年並のできだから、不満を口にするのは期待のかけすぎというものだ。

大谷選手はプレイオフに進出して、ワールドシリーズにも出たいと考えている。エンゼルスの今年の出だしは、その期待に応えたものだったが、これからはどうなるのだろうか。連敗阻止のために力投し、ホームランも撃って久しぶりにチームに勝利をもたらした。まだ3分の1を過ぎたところだから14連敗したら、14連勝したらいい。試合後のインタビューで彼は、そんなふうに応えていた。そうまで言わなくても、5割を回復させれば、後は終盤まで、食らいついていければと思う。

こんなわけで、最近の僕の一日は大谷選手の試合を見ることを基本にしている。昼前からの開始で晴れていれば、試合が始まる前に自転車に乗るし、試合が早朝なら、自転車は午後ということになる。梅雨になって、自転車も山歩きもできない日が増えたから、試合を見る以外することもない日もある。負けてばかりでは、そんなテレビも見る気がしなくなってくる。