珈琲をもう一杯
森の暇人のブログ
1998年7月25日土曜日
四国・四万十川 その3
◆四万十川→高松(7/25)
朝起きると、川は激流になっていた。昨日いっぱい泳いでいた鮎はどこに隠れているのだろうか。などと心配するが、差し迫っているのは、今日のルートをどうするかということだ。宿の人に聞くと、まだ道路が通行止めになったという連絡は入っていないという。天気予報では大雨洪水警報が高知南部に出たと言っている。今日はまっすぐ北上して四万十川の源流と四国カルストを見たい。一刻も早く出発した方がいいようだ。
出発するとすぐにバイクがこけていた。おじいちゃんが小さな落石につまずいたようだ。幸いけがはしていないようなので、バイクを起こすのを手伝い、エンジンがかかるのを確かめて別れた。「道の駅・大正」から梼原川をまっすぐ439号線を北上して東津野村に向かう。川は昨日とは一変して茶色の濁流になっている。見ていると思わず飲み込まれそうな気になってくる。道は狭く、曲がりくねっている。対向車に気を使うが雨が激しくてワイパーもきかないほどになる。
いくら走っても同じような道が続く。正直怖かった。いつ石が落ちてくるやもしれないし、路肩がゆるんでいるかもしれない。第一、道幅がよく見えないこともあるのだ。行き止まりになったら、この道を戻らなければならないし、帰り道だってふさがれてしまう。いい歳して無茶なことやるとつくづく思った。子どもを連れて長期のドライブをずいぶんやったが、そのときは、もっと注意深かった気がする。その子どもたちも、もう一緒に行くとは言わないから、最近ではもっぱら旅行は夫婦二人だけ。のんびりというよりは、気楽さからややもすると冒険指向になったりする。
2時間ほど走って、やっと小さな集落にたどり着く。窪川町への、そしてまた梼原町への分かれ道。少し道が広く、くねり方も緩やかになる。東津野村。何とか四万十川源流の町にたどり着いた。カルスト台地などをゆっくり散歩する時間も余裕もない。この雨では牧場に牛の群などといった風景もないだろう。ほとんど休むことなく北上を続ける。長くて真っ暗なトンネルを抜けると、四万十川源流地点に向かう道があったが、そこもパス。いつの間にか川が反対に流れるようになった。分水嶺を越えたのだ。この川は仁淀川に合流して高知に流れ注ぐ。
仁淀村にたどり着いたのが11時過ぎ。走りはじめてから4時間弱たっていた。喫茶店でコーヒーを飲む。ほっとした。ついでに昼食もここでと思ったが、全然空腹感はない。まだ緊張状態はとれていないようだ。コーヒーは無農薬だった。そういえば、店の感じもそれなりの趣がある。中年の女性が一人でやっている。高知で出会った若い子達の雰囲気が京都や大阪とほとんど変わりがないことに興味を覚えたが、流行や時代の傾向、好みは今や時差なく日本全国に行き渡る。そんなことをボーとしながら考えた。
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