1998年10月7日水曜日

野球の後は映画

 

  • 今年の夏休みは、見るのも読むのも考えるのも書くのもメジャー・リーグばかりだった。その季節も終わると、今度はBSでおもしろい映画をやりはじめた。で、ここ二週間ほどは、毎晩のように映画を見ている。二本立て、三本立てなんて日も珍しくない。たとえば、最近見た映画でおもしろかったものをあげると、『セブンティーン』『すべてをあなたに』『フェイク』『ジャック』『バスキア』『バッド・デイズ』『エビータ』『ペレ』『私家版』『死と処女』『愛よりも非情』記憶の扉』『心の指紋』『ハーモニー』それに『理由なき反抗』や『大人はわかってくれない』なども見てしまった。もちろん、これは全部BSで放送したものばかりである。
  • これだけいっぺんに見ると、さすがにそれぞれの映画を一つずつ記憶しておくことは難しい。けれども印象に残ったものをいくつか。ちょっとでも書き留めておけば、後で思い出すことができやすくなる。今回はそんなメモのようなレビュー。
  • 『ペレ』にはマックス・フォン・シドーがでていた。スウェーデンからデンマークに少年を連れて出稼ぎにでる初老の男の話。いい暮らしができると子どもに話しながら職を探すが、やっとありついたのは農場の家畜の世話をする仕事だった。確かではないが20世紀の初め頃の話だと思う。福祉の行き届いた、世界で一番豊かだと言われる国とはとても思われない世界。一緒に働く農奴のような人たちの中には、夢をアメリカに託す者がいた。ヨーロッパからアメリカに渡っていった大勢の人たちの心が少しわかるような作品だった。
  • 特に選んだつもりはなかったのだが、青春映画が多かった。『セブンティーン』はハンガリーから父とアメリカにやってきた移民の少年の話。DJに憧れるが(the)の発音ができない。永住権をとるためにはしっかり勉強しなければならない。けれども、女の子は気になるし、ちょっと不良になってもみたい。『理由なき反抗』や『大人はわかってくれない』とどこか共通したテーマだが、それなりに現代の若者をうまく描き出していると思った。『すべてをあなたに』はトム・ハンクスが監督をした作品。田舎のロックンロールバンドが売れて一躍スターになり、仲間割れして解散するという話。たわいがないといえばそれまでだが、60年代の一風景をうまく描いていた。
  • 『愛よりも非情』はイタリアが舞台で主人公はサーカスの女拳銃使い。彼女は新聞記者と恋に落ちるが、不良たちに強姦され、その復讐に男たちを皆殺しにしてしまう。傷つきながらの逃避行。警察に包囲され、恋人に抱かれながらの死。フランチェスカ・ネリに一目惚れしてしまったせいか、見ていて腹が立つやら、可哀相になるやら、久しぶりに目が離せないほど見入ってしまった。『死と処女』はアルゼンチンの独裁政権時代に政治犯としてとらわれ、性的な拷問を受けた受けた女性が、復讐をする話。ポランスキーが監督。
  • 『記憶の扉』は『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレの作品。雨の中を歩いていた男が検問で引っかかって警察で尋問を受ける。そのやりとりだけの話で、最後になるまで不可解なのだが、主人公が自殺した作家本人であることがわかって納得。死んだ本人に自分が誰であるかをわからせるための検問と尋問、そして旅立ち。ぼくはどういうわけか村上春樹の小説を思い浮かべた。彼の映画は小説になりにくいと思うが、こんなふうに作ったら案外おもしろいかも、という気がした。
  • それにしても、さすがに目が疲れる。深夜映画を見て、明け方ぼーっとしながら家に帰った若い頃を思い出してしまった。
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    unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。