・富士山頂からの日の出、あるいは富士山頂への日の入りを「ダイヤモンド富士」と言う。理屈では1年中どこかで必ず見ることができるのだが、やはり絶景ポイントと時期がある。冬至から正月にかけて有名なのは山梨県増穂町高下。甲府から笛吹川(富士川)沿いに南下したあたりで、下部温泉や身延山よりは北に位置する。河口湖からは峠をくだって車で1時間ちょっと。まだ真っ暗な早朝5時に家を出発した。 ・日の出ポイントに到着すると、すでに車の列。三脚にカメラをセットした人たちが数十人いた。気温は-1度、冷え込みは例年になく弱かったが、それでも、立ちっぱなしでいるのはつらい。6時過ぎには着いて、日の出の時間は7時半。車の中でコーヒーを飲みながら待つことにした。
・高下(たかおり)は家が数軒の集落だが、甲府盆地を見下ろし、富士を望む景色は本当に素晴らしい。高村光太郎が感激したというだけのことはある。その光太郎の碑があり、名産の柚子が無人販売所に並んでいた。富士山の山頂から正月に太陽が昇るのだから、何か霊気すら感じてしまった。
太陽は富士の左斜面を這うように登ってくる しかし出そうで出ない 光が薄雲に反射して赤から黄色、そして白に変わる で、その白い光の輪が山頂に達するといよいよ日の出 富士に後光が差した。 きらりと光る 光線は最初は下に二筋、それから三筋、さらに上にも三筋 ダイヤモンド富士! 肉眼ではまぶしいが、カメラを通すと光の筋の変化がよくわかる 「ワー、すごい!」と言っただけで、あとは無言 わずか数分の光のショーに、じっと見とれてしまった。 夜が朝に変わる時、一年が終わり、そして始まる時、冬至の季節 人は大昔から、この一日や季節や一年の変わり目を特別の思いで迎え 物語り、祀り、祈って過ごしてきた その理由が理解できる そんな気がした瞬間だった。
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unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。