・コールドプレイの新譜が出るというメールがアマゾンから来たから、さっそく注文をした。で、忘れた頃にやってきた。"Viva La Vida"。なじみの声とサウンドという感じもするが、何か今一つ訴えてくるものがない。アルバムづくりにはブライアン・イーノも参加しているという。相変わらず引っ張りだこなのだ。しかし、その影響が顕著というわけでもない。大体なぜタイトルがスペイン語なのだろうか。「人生万歳」とはどういう意味なのか。それを日本版は「美しい生命」なんて訳している。そしてなぜジャケットがジャンヌダルクなのだろう。歌詞を見るとイエルサレムだの王だのローマ軍だのが出てくる。「日本の恋人」なんて題名の歌もあるが、それらしいのは「今夜走るだろう、大阪の太陽を思いながら」という一節のみだ。まったく訳のわからないアルバムだが、ご丁寧に発売直後にはテレビCMもやっていた。コールドプレイもこれでおしまいか。そんな気になった一枚だ。
・対照的にちょっと前に出たステレオフォニックスの"Pull the Pin"はいい。僕は基本的にうるさいのは好きではないが、彼らだけはそんなに気にならない。スティーブ・ジョーンズのハスキーな声と3人だけのシンプルなサウンド、それに何気ない日常や些細な事件を話題にした歌詞。そういったスタンスはこのアルバムでも変わらない。「いつも起こしてくれるガールフレンドはピンクが好き。それは日没前の空の色。そんな彼女と夜にはとりとめもなく長話をする。彼女は僕の輝く赤い星。」あるいは、ケータイを盗まれて殺された 15歳の少年の話もある。ちなみに僕が最初に気に入ったのは、鉄道に飛び込んで自殺した少年を歌った"Local boy in the photograph"だった。
・ステレオフォニックスは2006年にライブ版を出している。"Live from
Dacota"。それに気づいてチェックをすると、その"Local boy in the
photograph"があったので、これも買った。2枚組みで20曲が入っている。"Pull The
Pin"とあわせて通勤時に何度も聴きかえした。当然だが、コールドプレイはめったにかけない。
・ところで、バンド名のステレオフォニックスというのが前から気になっていた。バンドのイメージに合わない名前だと思ったからだ。ネットで調べるとスティーブのおじさんが経営していた店の名前だという。サウンドにも風貌にも、そして歌詞にも似つかわしくない名前だが、彼にはそれなりの思い入れがあるのかもしれない。
・もう一枚は久しぶりのアラニス・モリセットだ。"Flavors of
Entanglement"。偶然だが、シェリル・クロウのアルバムとほとんど同時に聴いた。このコラムでは10年前にも二人を一緒にとりあげている。冷たさと暖かさが同居するアラニスと、乾いて強いシェリル。それはカナダのオンタリオとアメリカのカリフォルニアの風土の違いそのものだ。読み返すとそんなことが書いてある。ここ数年の二人について調べると、どちらも精神的につらい時期を過ごしたようだ。そして二人ともよく恋をして、そして失恋する。
・アルバムのタイトルは「障害物の気配」といった意味だろうか。曲名には「未完成」とか「モラトリアム」といったことばが並んでいる。「いつかは自由に話せるかも、怖がらずに、私の詩や歌詞や芸術とは離れて、自分を評価できるかも」素直なつぶやきのような歌だ。
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unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。