2015年2月16日月曜日

メディアの翼賛体制構築を批判する声

・政権べったりでほとんど批判らしいことをしないメディアに対して「翼賛体制の構築」だとして多くの人たちが反対の声をあげた。いくつかの新聞にはさして大きくなく取り上がられたが、テレビはほとんど無視。生中継をしたのはネット・テレビの「デモクラTV」などだけだった。

・「イスラム国」(ISIS)に捕らえられて惨殺された二人の日本人を巡る報道は「残忍、残酷」「無法」といったことばや「テロに屈しない」といったことばが繰り返されたが、日本政府の対応に対しては、交渉が継続中の間は批判は慎むようにといった空気が蔓延して、対応のまずさを指摘する声はほとんどなかったようだ。そんな報道が影響してか、この間の政府の対応を支持する声が6割にもなった。

・しかし、二人が捕らえられてから、それがネットで公開されるまでの間に、いったい政府はどういう対応をしていたのか。人質がいることを承知でなぜ、安倍首相は中東に出向き、2億ドルもの援助を公言したのか。といったことを真正面から検証して報道するメデイアは、今になってもほとんどない。それどころか、安倍政権は、今回の事件を理由に自衛隊の派遣や特殊部隊、あるいは情報局の必要性などを力説している。「日本人に指一本触れさせないために」などという首相のことばが、どれほど危険なものか、メデイアはなぜ批判をしないのかとあきれるばかりである。

・「イスラム国」は確かに国とは呼べない集団かもしれないが、その発生はそもそも、ブッシュ元大統領が根拠のない理由を掲げてイラクを攻撃してフセイン政権を倒したことにある。「イスラム国」がテロ集団ならアメリカとそれを支援した国々がしたことも「国家テロ」だったはずである。あるいは、そのテロ集団を殲滅させるために、アメリカがやっている空爆は、そこに住む人びとを大勢殺してもいるのである。そんな経緯を冷静に見つめれば、安倍政権の対応がアメリカべったりの「アメポチ」であることは明らかなのに、そんな声を発しにくい空気が、メディアから送られ続けている。

・「メディアの翼賛体制構築を批判する」声明は、そんな空気に危機感を持つジャーナリストや文化人が中心になって発せられた、賛同者はすでに1200人を越えたと言われていて、僕もこのニュースに接した後で賛同者として署名をした。ほっといたら本当に戦前の日本に逆戻りしてしまう。そんな危機感をここ数年持ち続けてきたから、これは手を上げておかなければ、と思ったからである。

・とは言え、今回の声明は発起人の今井一によれば、誰より報道人、言論人、表現者としてメディアと関わっている人たちに賛同を呼びかけたもので、そのことを理由に干されたり、職を失ったりする危険性を持つ人たちに対して、それでも声をあげる必要があることを訴えるのが第一の目的だったようだ。

・今回の事件を巡って安倍首相の言動や政府の対応については、国会では野党の議員からそれなりに厳しい質問や批判が浴びせられている。納得のゆく説明ではなく、強腰の発言で対応する首相や官房長官の姿勢も、国会中継やビデオ・ライブラリーで確認することができる。ただし、テレビでは、そんなやりとりはニュースでもほんのちょっとしか伝えない。ニュース以外に特番を組んでといったことは、もちろんどこもやっていない。夜の番組は相変わらず、バラエティのオンパレードである。

・メディアで働く人、メディアで発言している人のなかに「アベポチ」ではダメだとはっきり公言する人たちが1200人もいた。僕はその人達のあげた声に一筋の光明を見つけた気がして、ちょっと安心した。

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unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。