2019年5月13日月曜日

ジョニ・ミッチェルの誕生日

 

"Joni 75 A Birthday Celebration"

joni6.jpg・75歳の誕生日を祝うコンサートというのは、最近、ジョーン・バエズを取りあげたばかりだった。その折に、ジョニ・ミッチェルの75歳を祝うコンサートが、ロサンジェルスで行われたことにふれ、YouTubeでその模様を見聞きすることができることも書いた。今回紹介するのはそのCD盤である。
・ジョニ・ミッチェルについてこのコラムで紹介したのは2007年だった。引退宣言をして"A Tribute to Joni Mitchell"という名のアルバムも出たが、すぐに復活宣言をして"Shine"というアルバムを出した。ただし、コンサートなどはやらず、田舎暮らしをして絵を描いたりして、隠遁に近い生活をしているようだった。ところがしばらくして、モルジェロンズ病という難病を患っていることを知った。

・モルジェロンズ病は皮膚の下を虫が這っているような感覚に襲われる病気のようだ。実際、彼女はこの病気を次のように説明している。「神経を直接攻撃してくることがあって、そうするとノミやシラミに咬まれたみたいになるのね。皮膚にすべてが入り込んでいて、幻覚とかじゃないんだから。わたしを生きながら餌食にしていて、体液を吸い出されてるのよ。わたしは生きてきてずっと病気にかかってきてるし。」

・ジョニがこの病気に罹ったのは引退宣言をした頃だから、すでに10年以上の闘病生活をしていることになる。2015年には意識を失って緊急入院したというニュースも伝わってきた。その後の消息については何もなく、時折どうしてるのかと思う事もあったから、75歳の誕生日を祝うコンサートがあったという知らせと、ステージに上がってケーキのろうそくを消した写真を見てほっとした。

・このコンサートに参加したのは、ジェイムス・テイラー、グラハム・ナッシュ、クリス・クリストファーソン、ノラ・ジョーンズ、ダイアナ・クラール、チャカ・カーン、エミルー・ハリス、ラ・マリソウル、ブランディ・カーライル、シール、ルーファス・ウェインライト、グレン・ハンザードといった人たちで、それぞれが彼女の歌をカバーしている。

・ぼくがジョニ・ミッチェルを知ったのは『いちご白書』の主題歌「サークル・ゲーム」を聞いた時だった。この60年代の学園闘争をテーマにした映画で歌っているのはバッフィー・セントメリーで彼女自身ではなかったが、この曲をきっかけにジョニに興味を持つようになった。70年代から90年代にかけて多くのアルバムを出し、「ボス・サイド・ナウ(青春の光と影)」「コヨーテ」「ウッドストック」など多くのヒット曲を作った。フォークやロックといったジャンルを超えて、ジャズにも近づいたりと、いつも新しいことに向かっていた。

・ジョニはカナダ出身ということもあって、ぼくにはニール・ヤングとの共通性を感じさせるミュージシャンだ。都会よりは田舎が好きで、大勢の人に囲まれるよりは、一人での生活を好む。二人とも子どもの頃に小児麻痺を患ったようで、そんなところもまた、共通性を感じさせるところだったのかもしれない。ニール・ヤングは今も元気で、毎年のようにアルバムを出している。ジョニにはもうそんな力も気持ちもないのかもしれない。しかし、人前に出て元気に振る舞う気力は健在のようで、アルバムを聴きながら安心した。

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unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。