・山梨ローカルのTVニュースを見ていて、呆れることがいくつかある。その一つが、来年に延期されたオリンピックに関連するものである。例えば、オリンピックに出場が決まった、あるいは有望な選手にまつわるものや、ホームタウンとして外国選手を迎えることについてなどである。まるでコロナ禍など関係ないかのように、あるいはすっかりおさまっているかのようにして、夢や希望をまき散らす話は、見ていて正気とは思えない感じすら受けてしまう。
・オリンピックに参加するために日本に来る選手や役員は、数ヶ月から数週間前に日本にやってきて、ホームタウンとして契約しているところで調整をする。当然、選手と住民との間で交歓会などが持たれることになるが、コロナ禍ではこれができない。選手も役員も完全に隔離して、感染しないように気をつけるからだ。もちろん、住民にうつされてもいけないのである。しかしこれでは、ホームタウンの意味がなくなってしまう。テレビでは、迎える準備に取り組んでいるとは言っても、コロナについては何も言わないから、その報道の姿勢を疑ってしまう。
・同じことは聖火のリレーについても言える。今年延期の決定がされたのは、聖火リレーが始まる直前の3月末だった。その直前まで、やる予定で準備を進めていたのだが、今のところ、何の疑問もなく、やるつもりでいるようだ。もちろん、各競技での代表選びは進行中で、選ばれた選手たちにも開催は疑いのない事実のようだ。
・コロナ禍は日本でもひどいことになっているが、欧米では極めて深刻な事態に陥っている。キリスト教国にとってクリスマスは一年で最大の行事だが、それさえロックダウンで中止せざるを得なくなっている。ワクチンが使われはじめたといっても、多くの人に接種するためには、これから数ヶ月もかかるのである。オリンピックなど話題にもならないが、今年の春同様、年が変われば、各国の選手や役員たちから中止の要望が出てくるのは明らかだろう、十分な練習もできていないし、代表を選んでもいなかったりすれば、それは無理もない話なのである。
・日本の世論も無理だと考える人が多数を占めている。中止は30%ぐらいで、もう一回延期が40%ぐらいだが、これは質問自体がナンセンスで、再延期はないので開催か中止かで質問すべきことなのである。こんな世論にもかかわらず、政府やオリンピック担当者は、あくまで開催と言い続けている。首相は繰り返し「コロナを克服した証として開催」などと言っているが、克服などは当分出来っこないのである。
・政府は、無視し続けてきた「Go to~」批判を、支持率が急落した途端に中止した。しかし、オリンピックの開催を再検討する気配は全くない。開催した時にかかる費用についても全く具体性に欠けているし、ホームタウンについての言及もほとんどない。観客をどうするのか。大会を支えるボランティアをどうやって感染から守るのか。大会不参加を決める国が続出したらどうするのか。そう考えると、実際には、いつ中止を決断するかということになるしかないと思っている。TVには望むべくもないが、新聞がやんわりとでも中止を訴えることができない現状は、お粗末としか言いようがないのである。
・大会組織委員会は延期によって2940億円が追加されて、総額1兆6440億円になると発表した。しかし、ここにはコロナに対する対策費は含まれていない。また、公表されていないものもあって、3兆円を超えるのではとも言われている。コンパクト五輪と銘打った当初の予算は7000億円だった。こんなずさんなお金の使い方についても、オリンピックに協賛するメディアは弱腰だ。
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unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。