2021年5月3日月曜日

バカな大将ウィルスより怖い


TBSの「サンデーモーニング」は、報道としては例外的に視聴率の高い番組で、僕も毎週観ている。半年ほど前に佐高信が出て、菅首相を批判して、「バカな大将、敵より怖い」と言ったのを聞いて、思わず笑ってしまった。彼はその後、この番組に出ていないから、官邸から批判があったのかもしれない。しかし、コロナ禍の現状が政府の失政によるものであることを思えば、まさに「バカな首相は、コロナより怖い」である

もっとも、「バカな大将、敵より怖い」は佐高信のことばではない。北洋銀行の社長だった武井正直の講演集のタイトルで、佐高はそのことばを引用したのである。武井はバブルの時に、過剰な融資をしなかった人であり、バブルがはじけて破綻をした拓殖銀行を合併吸収した人である。気骨のある人で、佐高によれば、勲章を拒否したり、新入社員の入行式で「法律、人倫にもとる命令は、たとえ上司でも、従わなくて結構だ」と言ったようである。(社民党ニュース)その武井正直は2012年に亡くなっているが、生きていれば、バカな大将ばかりの現状に怒りを爆発させたことだろう。

コロナ禍はいよいよ深刻さを増してきている。大阪は既に医療破綻してしまっているし、東京の感染者も急増しはじめている。日本のワクチン摂取率はまだ1%を超えたところなのに、3ヶ月後に迫ったオリンピックをまだ諦めていない。そのために、選手や役員に毎日PCR検査をして万全を期すというが、医者や看護師がのべ1万人以上も必要になるようだ。現状でも医師や看護師不足が深刻なのに、一体どこから集めてくるというのだろうか。

菅首相はオリンピックの中止を決断するのはIOCの権限だから、自分では決められないと言う。しかし1年前に延期の判断をしたのは、安倍前首相だったから、責任逃れにしか聞こえない。もっともオリンピックは国ではなく都市が開催するものだから、都知事の判断が一番重要かもしれない。しかし小池都知事も、最近妙に沈黙を守っている。中止をせざるを得ないのに、誰も自ら判断して公言できないでいる。で、聖火リレーもやめずに続けているのである。

それにしてもバカな大将がこれほど多いとは、とあきれ果ててしまう。大阪の惨状はイソジン吉村知事と雨合羽松井市長のせいだし、暮からの第三波を招いたのは菅首相と二階自民党幹事長が勧めた「Go to キャンペーン」のせいだろう。で、聖火リレーを始めるためにと解除した緊急事態宣言を1ヶ月あまりで再宣言する慌てぶりである。森元会長も哀れな辞め方をしたが、後任の橋本も、五輪担当の丸川もそのお粗末は変わらない。

コロナは怖い。だけどその怖さを恐れない政治家たちはもっと怖い。さらに、これほどお粗末なことが繰り返されているのに、ほとんど批判らしいことを言わないメディアの無力さも恐ろしい。補償がない自粛要請など聞く必要はないし、オリンピックにボランティアで借り出される医者や看護師も拒否したらいい。バカな大将にとって一番怖いのは、お前はバカだと皆から言われることなのである。

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unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。