2023年7月10日月曜日

大谷報道は疑問だらけ

 大谷選手の活躍が華々しい。ホームラン王どころか三冠王も射程圏内にあるし、投手としても、後半戦の成績次第ではサイ・ヤング賞も可能性がある。まさに無双状態といってもいいほどである。そんな状態だから当然かも知れないが、テレビのワイドショーなどは朝昼夕と「今日の大谷」をやっている。新聞のテレビ番組欄を見る限りだが、他に取り上げるニュースはあるだろうに、何なんだ?と言いたくなった。

そんな喧騒はどうでもいいが、大谷選手についてのニュースで気になるのは、フリーになった時の契約金や年数がどのくらいになるかばかりだ。これはもちろん、アメリカでの発言が多いのだが、5億ドルで10年以上の契約が当たり前といった意見がほとんどなのである。僕はこのような論調に、大きな疑問を感じてしまう。

大谷選手は二刀流をいつまで続けられるのだろうか。それは本人にも分からないことだろう。もし10年以上の長期契約をして、途中で投げられなくなったり、打つ方もさっぱりだったり、大けがをしてシーズンを不意にしたり、ケガで休みがちになったりしたら、すぐに不良債権だと批判されてしまうのである。その見本になる選手はエンジェルスにもいるし、多くの球団に溢れている。

わーわーと大げさに騒ぎ立てて人々の注目を集める。それがメディアやそこで飯を食っている人たちの常套手段であることはアメリカも日本も変わらない。もっとも、人間の価値はお金が決めるというのがアメリカの基準だから、本気にそう思って発言している人も少なくないだろう。しかし、大谷選手は賢いし、お金のためにやっているわけではないと公言しているから、こんな契約はまず結ばないと思う。そもそもエンジェルスと契約する時だって、もう数年経てば高額な契約金と年俸を手にするのに、と言われたのである。

で、彼はエンジェルスとは再契約をしないと僕は思っている。選手同士では仲良く、楽しくやっているが、GMやオーナーをどこまで信用しているか怪しいからである。21年の年俸は、GMの大谷に対する評価が低くて、キャンプまでこじれた。だからMVPをとって手の平返しをしたってもう遅い。大谷選手はそんなふうに思っているのではないだろうか。もちろんプレイオフに勝ち残って、リーグ優勝戦やワールドシリーズに進んだとしたら、話はまた違ったものになるだろう。ただし、残念ながらそこまでの力はエンジェルスにはない。

大谷選手はとにかく、ワールドシリーズまで行って、そこで優勝したいのである。だからここと思ったチームを選択して、3年ほどの契約をするのだと思う。もちろん年俸額は最高だから、払える球団はかぎられてくる。今年の成績を見る限り、ワールドシリーズに行く可能性の高いチームは、ア・リーグならタンパベイ・レイズ、テキサス・レンジャーズ、ナ・リーグならアトランタ・ブレーブスだろう。しかし、これらのチームは戦力が整っているから、おそらく別のチームになるはずだ。自分が加わればもっと強くなり、高額年俸を複数年払える財政基盤があって、自分がチームを代表するスター選手になれる球団を探せばいいのである。

そうなると行けそうな球団はどこか。ジャッジやコールのいるヤンキースやカーショーやベッツのいるドジャース、ゲレーロJr. のいるトロント・ブルージェイズは外れるし、シャーザーやバーランダーがいても勝てない金満メッツは問題外だ。ソトやマチャド、タティスJr.、それにダルビッシュがいても弱いパドレスもダメ。そうなると残る球団はいくつもない。財政基盤がしっかりしていて、スター選手はいないがそこそこ強い。

僕はサンフランシスコかボストンと予測している。もちろんここには希望的観測という側面もある。しかし、もしそうなったら、アメリカのスポーツ・メディアは仰天して大騒ぎすることだろう。とは言え、6月末からエンジェルスは負け続けていて、プレイオフ進出の可能性が消えかけている。何しろトラウト始め故障者続出なのである。トレード話が再燃しているが、これは大谷選手には決められない話だから、どこに行くかは分からない。

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unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。