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・臨時国会が終わった。公明党の政権離脱と日本維新の会の連立によって始まったのだが、何ともひどく危ない国会だった。高市首相の発言によって中国が硬化して、様々な圧力を加えてきている。首相は発言を訂正しないから、圧力はますますエスカレートするだろう。ところが政権支持率はほとんど下がらないから、彼女は突っ張ったままである。中国には貿易でアメリカ以上に依存しているからどこより重視すべきなのだが、一体どういうつもりなのか疑問に思う。香港の現状を見ても独裁色の強い国家であることは明らかだが、それだけに、もっと慎重な対応が必要なはずなのである。そのことは、横暴に振る舞うトランプ米大統領もよくわかっていて、高市発言を直接戒めたようである。 ・ところで、自民党総裁にはなれたが総理にはなれないかもしれないと泣き言を言ったのに、維新が連立に加わることになった途端の右旋回である。公明党のブレーキが無くなったのだから当たり前だが、防衛予算のGDP比2%の今年度中の実現をさっそく公言した。財源をどうするかはもちろん、曖昧なままである。何が必要かを精査して決めるといった石破政権の方針は問答無用に反故にされたのである。反故にされたのは他にも米の生産増にも及んでいて、お米券などというばらまきで誤魔化そうとしている。 ・維新は連立に参加する条件として唐突に、衆議院の議員定数削減を言い出した。何より政治資金規正法の改正こそが重要なのに、高市首相は立憲民主党の野田代表に、そんなことより議員定数について議論しましょうと言い放った。結局、政治資金規正法を優先して議員定数は次の通常国会に持ち越しになったのだが、とんでも国会を象徴する案件だった。 ・維新は「身を切る改革」を党のスローガンにしている。議員定数削減はその主張に沿うものだが、連立政権に入った途端に、議員の政治資金の使い道についての疑惑が暴露された。印刷費を秘書が経営する印刷所に払ったとか、政治資金をキャバクラなどでの飲食費に使ったなどである。維新の不祥事はこれまでにも、地方議会の議員を含めて多発していて、身を切るなどがまやかしであることは明らかなのである。 ・そんな実情を見て思うのは、今必要なのは議員定数の削減ではなく、議員報酬の見直しにこそあるということだ。国会議員は年額で2100万円超の歳費をもらう他に、「文書通信交通滞在費(月100万円)」や「立法事務費(月65万円)」と秘書給与やJRの無料パスも交付されている。ところがそれらを何に使っているかが不透明だから、いろいろと怪しい金の使い道をしたことが暴露されるのである。国会議員の定数は他国と比べて決して多くはないが、議員が手にする報酬こそが圧倒的に多額で、しかも使い道が不明瞭なままなのだ。 ・日本の国会議員はアメリカやイギリスの1.5倍以上の報酬を手にしている。しかも日本人の年収は逆に米英の半分かそれに近い数値だから、いかに日本の国会議員が優遇されているかがよくわかる。議論すべきはここのはずだが、自分の懐に入るお金を減らすことなどは、ほとんどの政党も議員も考えてはいない。「身を切る」などとはちゃんちゃらおかしい政策なのである。 |
2025年12月22日月曜日
国会議員の定数より歳費の削減を!
目次
12月
22日 国会議員の定数より歳費の削減を!
15日 鉄道旅に見る中国の変容
8日 紅葉が終わった
11月
17日 仕事を辞めて8年も経った?
10日 ドジャース中心の生活が終わった
3日 トランプ来日報道の愚かさ
10月
27日 冬の支度を始めようか
20日 霧の穂高
6日 CDがカビだらけ
9月
29日 世界陸上と日本人ファースト
22日 WBCはテレビでは見られない?
15日 石破が辞めてどうなるのか
8日 収穫の秋?
8月
18日 避暑地の暑さ対策
11日 石破辞めるなにちょっとだけ賛成!
4日 暑い! 暑い!!
7月
21日 差別が大手を振る世界になった
14日 ブライアン・ウィルソンについて
7日 加湿と除湿
6月
30日 大相撲について気になること
23日 丸太富士と野鳥の巣箱
9日 プログレを聴きながら
26日 観光客はありがた迷惑です
19日 米の値段について
12日 庭の野花と野菜畑
4月
28日 あまりにお粗末な万博について
21日 補聴器で音楽を聴く
14日 広告は神話にすぎないのでは?
7日 MLBが始まった!
3月
31日 冬の仕事がんばった!!
24日 吉見俊哉『東京裏返し』集英社新書
17日 無理が通れば道理が引っ込む
10日 『名もなき者』(A complete unknown)
3日 ネットの変貌
2月
24日 喜寿を身体で実感する
17日 松を片づける
10日 マリアンヌ・フェイスフルについて
1月
20日 民放テレビの終わりの始まり
13日 MLBのストーブリーグについて
6日 この冬は寒い
2025年12月15日月曜日
鉄道旅に見る中国の変容
・俳優の中山卓也が鉄道で旅する番組をよく見ている。シンガポールを出発して東南アジアを北上し、ラオスから中国に入って西に進み、中央アジア、東欧から最後はスペインのジブラルタル海峡まで行くという長い旅行である。番組タイトルは「地球旅」だが、もちろん一挙に旅するというわけではない。最初はシンガポールから中国の昆明までで4月から始まったが、11月からは中国をあちこち巡っている。このペースでは、辿り着くのは何年も先になるだろう。もちろん、中山にとっても、旅は細切れで進むということになるはずだ。・この俳優の気さくさが功を奏しているのか、鉄道の中でも街中でも、良く話しかけてその土地の様子をうまく聞きだしている。しかし話しかけることばは日本語で、返ってくるのが現地語だから、やっぱり違和感がある。なぜこの種の番組は通訳を登場させないのかといつも不思議に思うところである。 ・そんなふうにして、シンガポールからマレーシア、タイと北上してラオスに入ったのだが、昔ながらの鉄道に交じって新幹線に似た高速の長距離電車が走っているのに驚いた。しかしその驚きはラオスでさらに高まることになる。ラオスの首都のヴィエンチャンからは中国に通じる高速鉄道が敷かれていて、その建設資金は中国によってもたらされているというのである。まさに一帯一路である。 ・今は中国の主に内陸部を走る鉄道に乗って旅しているのだが、その大半は高速鉄道である。中国の高速鉄道は2007年以降に本格化したというからまだ20年も経っていないのだが、すでにその路線は中国全土に張り巡らされ、25年時点では5万キロに達しているそうだ。中国の鉄道網の総距離は15万キロと言われているから、その三分の一が高速化したということになる。中国が日本のGDPを抜いたのは2009年だが、現在ではほとんど停滞している日本の5倍に成長している。その急速な発展は、中山卓也が高速鉄道に乗って降り立ったどんな中小都市にも林立する高層ビルによってもよくわかるのである。ちなみに日本の新幹線の総延長は3300キロである。
・中国の鉄道を旅する番組は以前にも関口知弘が2007年に行っている。「関口知宏の中国鉄道大紀行」という名で2007年に、チベットのラサから西安までの春と西安からカシュガルまでの秋の2回にわけて放送された。そこで乗った36000キロにもなる鉄道旅のほとんどは電気かディーゼルの機関車が引っ張る列車で、乗客の中には人民服を来た人もいたし、降り立った町には昔ながらの風景が当たり前だった。経済成長の恩恵はまだ全土に行き渡るほどではなかったのである。その番組はNHKのアーカイブではもちろん、YouTubeでも見ることができる。・この二つの旅番組を比較して見て驚くのは、GDPが日本の5倍になった、この20年あまりの中国の変貌ぶりである。それを目の当たりにして思うのは、高市首相の発言とそれを支持する世論の浅はかさである。中国なんてやっつけちまえといった威勢の良さは、鬼畜米英と叫んで戦争に突き進んだ愚行の再現を感じさせるものでしかない。そんな不安すら覚えてしまいかねないのである。 ・中国は日本にとって最大の貿易国だが、そうなったのはやはり2007年だった。現在では輸出入総額の20%以上を中国が占め、アメリカは15%に留まっている。にもかかわらず日本はトランプの関税政策にはへつらった態度を取っているのに、中国には高飛車なのである。中国が本気になって貿易を制限しはじめたら、日本経済はどうなるのか。中国の現在の国力と、その関係の重要さについて、もっと冷静になって考えなければダメだな、と思わされた番組だった。ちなみに中国の輸出入総額に占める日本の額は7%に過ぎないのである。 |
2025年12月8日月曜日
紅葉が終わった
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・去年見つけて放っておいた鹿の頭の骨を家に飾った。上のようになかなかいい。初めは工房にと思ったのだが、パートナーに拒絶されてしまった。だったら玄関にと思ったのだが、驚かすことになるかもと思って、ベランダの上にした。これを見て鹿や熊が近づかなくなればいいのだが。今年はあちこちで熊が現れて大騒動になっている。近辺では熊情報もあるが、周辺には来ていないようだ。 ・最近はめったに歩かなくなったが、せめて紅葉台ぐらいはと行ってきた。ちょうど紅葉も見頃で、富士山も雲間から時折顔を出した。湖畔は観光客でいっぱいだが、ここまで来る人は少ない。急に寒くなったせいか、今年の紅葉はきれいだ。富士山の初雪も去年よりはずっと早く、10月末には薄化粧になって、11月にはかなり白くなった。・我が家のカエデやケヤキの木も例年になくきれいに色づいた。それが風とともに吹雪のように散って、後は庭一面が枯れ葉で埋まった。歩くとサクサクと音がして気持ちがいい。こんな枯れ葉も1年経てば土に帰って、また新しい枯れ葉が積もることになる。
・そんなふうにして道路脇に溜まった土を畑用に庭に運んできた。まだまだ取ろうと思えばいくらでもあるが、畑用ならこのぐらいで十分。後はまた来年取りに行くことにした。今年作った畑は午前中は家の陰で日が当たらなかった。育ちが悪かったのはそのせいだと思って、もっと日当たりのいいところに畳一畳ほどの新しい畑を作った。ここには肥料を与えずにジャガイモとサツマイモを植えるつもりである。ジャガイモはまずまずのできだったが、やたら高く延びすぎたし、サツマイモは広がった割に、小さなイモしかできなかった。
・11月の上旬に朝起きると急に右目のまぶたが重く感じるようになった。すぐ直るかもと、しばらく放っておいたが全然良くならない。毎年の健康診断の日に行くと、血圧がとんでもない高さになっていて、これは脳にでも原因があるのではと不安になって、脳神経外科に行った。そうするとCT検査をして副鼻腔炎と診断された。2週間の吸入と薬で副鼻腔炎は直ったと言われたのだが、まぶたはまだ引っかかった感じがする。鼻水が出るしくしゃみも良くするから、まだ完治していないのかも知れない。
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2025年12月1日月曜日
工藤保則『野暮は承知の落語家論』青弓社
・工藤さんから本が届いた。二冊目で、前のは『46歳で父になった社会学者』だったが、今度は『野暮は承知の落語家論』である。まるで違うテーマだが、そう言えばずいぶん前に『三田落語会』というCDのボックスを彼からいただいていた。落語好きは知っていたが、まさか本まで出すとは思わなかった。いただいたからには紹介しなければいけないが、僕は落語にはあまり興味がない。京都にいる頃はテレビで米朝や枝雀、文珍や鶴瓶などを聞くことはあったが、最近は全く聞かなかった。・この本で取り上げられている落語家は古今亭志ん朝、立川志の輔、柳家喬太郎、春風亭一之輔、小沢昭一、そして神田伯山である。志ん朝は昔に聞いた記憶はあるが、他の人はない。それに小沢昭一は役者だし、伯山は講談師だ。さて困ったと思ったが、とりあえずはYouTubeで探して聞いてみることにした。志ん朝は若手の有望格として若旦那を話すことに長けていたが、落語協会の分裂騒動などがあって、名実ともに旦那に磨き上げられていく。そんな説明には何となく納得できたが、後の喬太郎や一之輔は全くピンと来ない。柳家喬太郎には「間の可能性」、春風亭一之輔には「生活者の了見」というタイトルがついているが、話を一つ二つ聞いたぐらいでわかるはずもない。そんな諦めが先に立った。 ・しかし、テレビの司会で知っていた立川志の輔と師匠の談志の関係は面白かったし、小さい頃から落語に馴染み、大学から演劇に進んだ小沢昭一の話も面白かった。志の輔の章は「座布団の上の演劇」となっていて、「志の輔は登場人物に感情を込め、一人ひとりの人物になりきろうとする」とあった。確かにいくつか聞いた新作落語には、そんな特徴が見て取れた。それが談志譲りであることは古典である「芝浜」を談志と志ん朝で聞き比べてよくわかった。志ん朝は滑らかな口調で話すのだが、談志は確かに登場人物を演じていたのである。 ・小沢昭一は特異な性格俳優だったが、晩年には日本の放浪芸を訪ねて、レコードや本を出している。落語で育ち、新劇に転じて舞台や映画で活躍するが、そこに安住できずにまた落語の世界に戻っていく。小沢昭一は好きな俳優で、その放浪芸への傾注や自らを河原乞食と名乗った時期には、熱心に見聞きし書いたものを読んだこともあった。しかしその彼が寄席に戻って、舞台で話をし、ハーモニカを吹いたことは知らなかった。 ・最後の章は講談師の神田伯山で、これについてもさっぱりだったが、落語が直接聞き手に話しかけるのに講談は本を読んで聞かせる芸だとあって、あそうか、と思うところがあった。つまりコミュニケーションには三つのパターンがあって、まずは落語のように直接語る「参加」と、語りを傍観者として「立ち聞き」する形の違いがあるということだ。講談で語られる世界は本の中にあるのだから、話す者も聞く者もその世界には入れないのである。新劇は舞台と客席を断絶させて、舞台の俳優たちはあたかも客などいないかのようにして演じていく。だから観客はいわば「のぞき見」するように物語を体験するのである。映画は最初から、その形を前提にしてつくられている。 ・「参加」と「傍観」と「覗き」はもちろん、僕がコミュニケーション論を考える際に採用した解釈であって、この本に登場するものではない。しかし、よくわからないなりに読んで、僕なりに納得した点があったことはおもしろかった。とは言え、これで落語に目覚めたかと言うと、そうでもないなと思う自分がいることも確かである。 |
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12月 26日: Sinéad O'Connor "How about I be Me (And You be You)" 19日: 矢崎泰久・和田誠『夢の砦』 12日: いつもながらの冬の始まり 5日: 円安とインバウンド ...
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・ インターネットが始まった時に、欲しいと思ったのが翻訳ソフトだった。海外のサイトにアクセスして、面白そうな記事に接する楽しさを味わうのに、辞書片手に訳したのではまだるっこしいと感じたからだった。そこで、学科の予算で高額の翻訳ソフトを購入したのだが、ほとんど使い物にならずにが...
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・最近はめったに歩かなくなったが、せめて紅葉台ぐらいはと行ってきた。ちょうど紅葉も見頃で、富士山も雲間から時折顔を出した。湖畔は観光客でいっぱいだが、ここまで来る人は少ない。急に寒くなったせいか、今年の紅葉はきれいだ。富士山の初雪も去年よりはずっと早く、10月末には薄化粧になって、11月にはかなり白くなった。



・11月の上旬に朝起きると急に右目のまぶたが重く感じるようになった。すぐ直るかもと、しばらく放っておいたが全然良くならない。毎年の健康診断の日に行くと、血圧がとんでもない高さになっていて、これは脳にでも原因があるのではと不安になって、脳神経外科に行った。そうするとCT検査をして副鼻腔炎と診断された。2週間の吸入と薬で副鼻腔炎は直ったと言われたのだが、まぶたはまだ引っかかった感じがする。鼻水が出るしくしゃみも良くするから、まだ完治していないのかも知れない。
・工藤さんから本が届いた。二冊目で、前のは