・今年の冬はいつになく寒かった。しかも大震災のあとも寒い日が続いたから、余計に寒々とした気持ちになった。去年は大学の卒業式には桜が満開だったのに、今年はまだつぼみが堅かった。もっとも震災の影響で、卒業式自体も中止されたのだった。その後、大学の入学式も中止され、新学期以降のスケジュールや計画停電に対する対応などで、3月末から忙殺された。
・その間に、パートナーは京都でやる個展の準備をし、一人で出かけた。個展は夷川通りのidギャラリーで1日から3日までおこなわれ、大勢の人がやってきて、今回のメインテーマだったスナフキンがほとんど売れるほどの盛況だった。僕も2日と3日には会場にいて、久しぶりに友人や知人と会うことができた。
・一昨年の夏に急逝した木村洋二さんのお墓に行きたいと思っていたが、パートナーのKさんと娘さんが個展に来てくださった。で、お墓のことを尋ねると、家の大岩の下に埋めたという。翌日、彼女はいなかったがお宅を訪ねて、大岩に花を供えた。何度も来たところだが、こんな大きな岩があるとは気がつかなかった。湯谷岳を見上げると、今にも木村さんが笑い声を上げながら、駆け下りてくる気がした。
・家は昔のままだったが、大きな書庫を作り、庭にも石や煉瓦の道ができていたから、あれこれ工夫して、作りかえる途中だったのだと思う。そのやりかけといった様子が、また今にも、木村さんが出てきそうな気にさせた。
・京都から戻ると、我が家の庭にも春が訪れていた。蕗の薹がいくつか顔を出し、片栗の花がつぼみをつけて、今にも開きそうな気配で、しかも、今年もまた少し、数が増えたようだった。大学に出かけ、いくつもの会議をこなし、また家に戻ってくる。来冬用の薪のために昨秋原木を4立米買ったが、もう4立米注文し、トラックで運んでもらった。隣の土地の木を伐採したので、今度はトラックも入りやすくなった。チェーンソーで玉切りにし、斧で割って、日干しにする。そんな作業がまた始まる。原木の値段が上がって、手に入りにくくなったようだ。石油の値上がりも大幅だから、暖房費への出費もバカにならない額になってきた。