・森友・加計学園問題を巡る国会閉会中の委員会の中継を2度テレビで視聴しました。1回目は前川参考人の独演会のようでしたが、2回目は安倍首相が出席をしました。「一点の曇りもない」「李下に冠を正さず」「丁寧に説明をする」といったことばを羅列しましたが、これがすべて嘘に思えるほどのひどい答弁でした。
・加計学園は獣医学部を今治市に来年4月に開校することを目指しています。文科省の正式な承認は8月末ですが、校地の整理や校舎などの建設はすでに行われています。土地は今治市からの無償提供(34億円)ですし、国からも補助金が64億円支払われるようです。国家戦略特区として異例の新設ですが、首相と学園理事長の関係が疑われての委員会開催になりました。
・安倍首相の答弁の中で特におかしかったのは、加計学園が獣医学部の申請を出していることを知ったのは、それが正式に決まった今年の1月20日だったという発言でした。国会の答弁ではそれ以前から承知していたという答弁がありましたが、これを追求されると、以前の答弁が間違っていたと苦しい弁解をしました。
・これが嘘であるのは明確ですが、そう言わざるを得ない証拠が他に明らかにされているからです。新聞の首相動静によるだけでも、彼は加計理事長と政権に返り咲いて以降14回、食事やゴルフを共にしています。特に獣医学部の申請手続きが本格化した昨年後半には6回になっています。首相はもちろん、友だちとして会っていたのであって、学部の話は全くしていないと答弁しました。
・しかし、そんな嘘を誰が信じるでしょうか。まさに「李下に冠を正し」て、二人でスモモを食べたと疑えるからです。と言うより、冠を直すふりなどせず、平気でむしゃむしゃとやってしまっているのです。おそらく、そんなことしたって支持率は下がらないと高をくくっていたのでしょう。ところが最近の急落で、一転しおらしくして、知らなかったと弁解したのだと思います。
・こんな首相をかばうように、官僚たちは文書記録を廃棄処分したと言い、記憶がないとくり返しました。今治市の職員が獣医学部新設の件で2015年4月2日に官邸を訪問しています。市はそのことを開示していましたが、問題になったとたんに非開示にしました。非開示になったのは「特区担当の市職員が首相官邸を訪問した出張記録や、開学時期の方針が公表される3カ月前の昨年8月4日に市が作成した「18年4月開学」とするスケジュール表など9件」です。
・その際に対応した官僚名は黒塗りされていましたが、対応したと思われる首相秘書官は「記憶にない」を連発して、委員会が騒然となりました。さらに、官邸の記録も残っていないとしらを切る始末でした。「記憶にない」「記録がない」というのは、事実が露呈するのはまずいからにほかなりません。証拠がなければ罪には問えないだろうという態度ですが、「印象」という点では、一点の曇りもないどころか、全面真っ黒だと思われても仕方がない対応だったと言えるでしょう。
・政権の支持率はすでに「秋の日のつるべ落とし」のように下がっています。この政権は「印象操作」を駆使して高い支持を維持してきましたが、墓穴を掘ったのも「負の印象操作」ということになります。それにしてもこんな時になぜ、民進党までがたがたになるのでしょうか。安部の延命に手を貸す力が働いたのだとしたら、解党して出直すしかないのかもしれません。