2000年8月21日月曜日

ジャンク・メールにつられて


  • 最近特にというわけではないが、ジャンク・メールがよくやってくる。大半はお金儲けかアダルト・サイト。新ビジネスの誘いとか、投資の勧め、あるいは掘り出し物の宣伝などといったメールにはまったく関心がないから、即削除することにしている。本当はメールを開く気もしないのだが、最近はなかなか凝っていて、題名に「渡辺と申します」などとついていて、一見しただけではどんな内容なのかわからない場合が少なくない。たとえば………
    同姓のよしみで、突然のメールの送信お許しください。□ ■ クラブと申します。当クラブは、今の日本の預金金利の低さに、ガマンできない人達が集まってつくられた自主運営の情報交換会です。『目的を持ってお金を貯めている』 方、『将来お金が絶対に必要』な方に、ごく一部の資産家の持つ『貯蓄術』を、ただ一心にお伝えしたく、失礼を覚悟で ご連絡申し上げました。
  • インチキくささ丸出しだが、詐欺まがいの商法に引っかかったというニュースは後を絶たないから、こんな誘いでも、ついついその気になる人がいるのかもしれない。そういえば、勧誘はメールだけでなく、研究室の電話にもよくかかってくる。こちらはもう本当にむかっとしてしまうから、「あんたどこにかけてるのかわかってるの?今授業中だよ!」と言うことにしている。
  • けれども、アダルト・サイトにはちょっと興味をそそられる。だから時には、サイトを訪ねることもある。そうするとたいがい、それなりの写真が数枚あって、「これ以上ご覧になりたい方は。ぜひ会員に」といったメッセージが書いてある。会費は電話料に加算かカードによる払込。実は危ないことが一度あった。
  • 専用ソフトのダウンロードボタンがあって、何の気なしに押したら、ダウンロードをはじめて、即解凍、終わったら、自動で接続を始めた。慌てて、接続中止にしようとしても、何度も同じ動作を繰り返す。仕方がないから、パソコンを強制終了して、立ち上げなおし、TCP/IPをチェックする。すると、今まで使っていたプロバイダーの設定はすべて消されてしまっていて、怪しい接続先は消去ができない。で、システム・フォルダを開いて、それらしいファイルをすべてゴミ箱に捨てて、もう一回再起動。やっと元に戻ってほっとしたが、そのあくどさにあきれた。
  • 身に覚えのない多額の電話料金を請求された話もよく耳にする。上に紹介したケースなら、そんなことにもなりかねないだろうと思った。インターネットは手軽だが、落とし穴もあちこちに巧妙に仕掛けられている。そしてパソコンに詳しくない人なら、自分が穴に落ちたことすら気づかない。
  • もっとも、アダルト・サイトが全部、このような怖いところだとは限らない。最近では週刊誌にも「ヘア」は珍しくないが、日本のサイトではハードコアはもちろん、性器の露出も禁止されている。しかし、外国のサイトのものなら、そんな日本の法律は関係ない。しかもインターネットには国境がないから、何でも自由に簡単に見ることができる。大学でも、これはなんとかしなければ、という意見も出るが、僕は英語の勉強にもなるのだから、多少の冒険はいいのではないかと思っている。
  • これはジャンクではないが、もうひとつ意外なメールを紹介しよう。「コーパスご提供のお願い」というもので、何のことかわからなかったので開けてみた。依頼主は「マイクロソフト社」。
    現在マイクロソフト社では自然言語の解析を行い、今後の製品開発に役立てるためのデータ (コーパス)を集積すべく、あらゆる分野(固い言葉から日常の言葉まで)で使用される日本語文章のサンプルをご提供いただける協力者の方を探しております。
  • コーパスとは「言語情報のかたまりで、通常はセンテンスごとに切り離したデータ」のことのようだ。つまり、僕がHPに載せた文章を日本語の材料として使いたいということのようである。依頼書を読むと謝礼も出るという。僕はマック派だからビル・ゲイツは好きではないが、日本語の解析に役立つなら協力しようかと思って、承諾の返信を出した。
  • 言うまでもないが、HPのデータは、誰でも見ることができる。見るということは、受信したパソコンにデータが全部ダウンロードされるということだ。いったんダウンロードされたデータは盗作や無断借用ならいざしらず、解析材料にするぐらいならいちいち使用許可を取る必要もないだろうに、と僕は思った。しかし、インターネットの時代を先導するマイクロソフト社だから、逐一契約をするというのは当たり前かなとも感じた。何しろソフト会社にとって最大の敵は製品を無断コピーさる人たちなのだから………。
  • そんなわけで、僕の文章がやがてマイクロソフトの製品に生かされることになるのかもしれない。そう考えると、自信を持って「正しい」とはとても言えない僕の書く日本語が材料になっていいのだろうか、と心配になってきた。と書いているこの文章も、マイクロソフトにコーパスとして利用されることになるのである。
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    unknownさんではなく、何か名前があるとうれしいです。