Neil Young "A Treasure"
Ry Cooder "Pull Up Some Dust and Sit Down"
Patti Smith "Outside Society"
Gustavo Santaolalla "21 Grams" "Brokeback Mountain""The Motorcycle Diaries"
・最近買ったCDはあまりないのではと思っていたが、トム・ウェイツの新しいアルバムを買ったのを機会にiTunesを調べてみたら、意外に何枚も並んでいた。車に乗っているときにはiPodをつけているから、買ったままで聴いていないというわけではないのだが、CDを聴くことがなくなったから、一枚のアルバムについての印象がすごく薄くなった。
・トム・ウェイツの"Bad
As
Me"はハードカバーの冊子で、各曲の歌詞が見開き2ページごとに書かれ、写真が載ったものだ。簡易のアルバムもあるが、興味があったから買ってみた。ボーナストラックが一枚余計について、3曲がおさめられている。iTunesで好きな音楽だけダウンロードといった時代だからこそなのだろうか。歌詞を見ながら歌を聴く。歌詞はパソコンではなくタイプライターで打たれたものだ。
仕事を見つけろ 金を貯めろ ジェーンに聞いてみな
雨の日には傘の値段があがるってことは誰もが知っているから
で、どんなニュースもひどいもんだ "Talking at the sametme"
・ニール・ヤングは次から次へとアルバムを出している。しかし買ったのは久しぶりだ。"A Treasure"は昔のライブ録音で、Tシャツつきのものもあるようだが、こちらは一番安い輸入版にした。反戦歌ばかりのアルバムを出したかと思うと、妙に商売っ気を感じさせたりと、最近はあまり手を出す気がしなかったが、評判がいいので買うことにした。80年代のもので知らない曲が多い。なかなかいいが、題名の「お宝」といえるほどの価値があるとは思えない。
・精力的にアルバムを出すと言えばライ・クーダーも一緒だ。しかし、彼が出すアルバムはどれもテーマがはっきりしていて、しかも相互に繋がりや一貫性がある。アメリカの音楽のルーツを訪ね、発掘する作業には、必ずマイノリティの視点が強くある。最初は彼のギターに惚れてファンになったのだが、最近のアルバムで発表される歌は、どれも歌詞がいい。"Pull
Up Some Dust and Sit
Down"に出てくるのはいじめられる移民、貧富の差の拡大、中東での終わりなき戦い、そして銀行ばかりを救済する政府に対する怒りや辛辣な怒りだが、どれもストーリーとして語られるから、訴えがシーンとして浮かびあがってくる。
かわいい子どもが徴兵されたと言った
列車が次の朝やってきて
俺は立ってバイバイと言うほかなかった "Baby join the army"
・パティ・スミスのアルバム"Outside Society"はソウルの町で見かけた。てっきり新曲ばかりと思ったのだが、シングル盤で出たヒット曲を集めたベスト盤だった。全曲リマスターだということだが、すでに持っているものとの微妙な違いに耳を傾ける趣味はないから、あまり聴いていない。ただ、すべての曲について、パティ自身がコメントをつけていて、それはそれでおもしろい。そう言えば、ここで紹介するほとんどアルバムはLPレコードでも売り出されている。デジタル化で形のあるものが不要になる時代に異を唱える人が増えているということなのだろうか。
・グスタヴォ・サンタオラーラの"21 Grams"は映画のサントラ盤である。21グラムは心臓の重さで、心臓移植を巡る人間模様がテーマの映画だが、僕は画面を見ずに音だけ聴いていたから、かえって音楽が気になり、気に入って買ってしまった。サンタオーラが誰なのかもわからなかったのだが、彼はアカデミー賞を取った"Brokeback Mountain"の音楽も担当している。1951年生まれのアルゼンチン人で、チャランゴの名手だと言われている。チェ・ゲバラの南米旅行記を映画化した"The Motorcycle Diaries"のなかに、「ウスアイアからラ・キアカへ」という題名のチャランゴのソロ演奏曲がある。気に入ってYouTubeで検索すると、彼のライブ演奏を聴くことができた。もちろん、映画のシーンをかぶせたビデオもある。知らない人がまだまだいる。改めてそう思った。