・大谷選手の活躍が華々しい。ホームラン王どころか三冠王も射程圏内にあるし、投手としても、後半戦の成績次第ではサイ・ヤング賞も可能性がある。まさに無双状態といってもいいほどである。そんな状態だから当然かも知れないが、テレビのワイドショーなどは朝昼夕と「今日の大谷」をやっている。新聞のテレビ番組欄を見る限りだが、他に取り上げるニュースはあるだろうに、何なんだ?と言いたくなった。
・そんな喧騒はどうでもいいが、大谷選手についてのニュースで気になるのは、フリーになった時の契約金や年数がどのくらいになるかばかりだ。これはもちろん、アメリカでの発言が多いのだが、5億ドルで10年以上の契約が当たり前といった意見がほとんどなのである。僕はこのような論調に、大きな疑問を感じてしまう。
・大谷選手は二刀流をいつまで続けられるのだろうか。それは本人にも分からないことだろう。もし10年以上の長期契約をして、途中で投げられなくなったり、打つ方もさっぱりだったり、大けがをしてシーズンを不意にしたり、ケガで休みがちになったりしたら、すぐに不良債権だと批判されてしまうのである。その見本になる選手はエンジェルスにもいるし、多くの球団に溢れている。
・わーわーと大げさに騒ぎ立てて人々の注目を集める。それがメディアやそこで飯を食っている人たちの常套手段であることはアメリカも日本も変わらない。もっとも、人間の価値はお金が決めるというのがアメリカの基準だから、本気にそう思って発言している人も少なくないだろう。しかし、大谷選手は賢いし、お金のためにやっているわけではないと公言しているから、こんな契約はまず結ばないと思う。そもそもエンジェルスと契約する時だって、もう数年経てば高額な契約金と年俸を手にするのに、と言われたのである。
・で、彼はエンジェルスとは再契約をしないと僕は思っている。選手同士では仲良く、楽しくやっているが、GMやオーナーをどこまで信用しているか怪しいからである。21年の年俸は、GMの大谷に対する評価が低くて、キャンプまでこじれた。だからMVPをとって手の平返しをしたってもう遅い。大谷選手はそんなふうに思っているのではないだろうか。もちろんプレイオフに勝ち残って、リーグ優勝戦やワールドシリーズに進んだとしたら、話はまた違ったものになるだろう。ただし、残念ながらそこまでの力はエンジェルスにはない。
・大谷選手はとにかく、ワールドシリーズまで行って、そこで優勝したいのである。だからここと思ったチームを選択して、3年ほどの契約をするのだと思う。もちろん年俸額は最高だから、払える球団はかぎられてくる。今年の成績を見る限り、ワールドシリーズに行く可能性の高いチームは、ア・リーグならタンパベイ・レイズ、テキサス・レンジャーズ、ナ・リーグならアトランタ・ブレーブスだろう。しかし、これらのチームは戦力が整っているから、おそらく別のチームになるはずだ。自分が加わればもっと強くなり、高額年俸を複数年払える財政基盤があって、自分がチームを代表するスター選手になれる球団を探せばいいのである。
・そうなると行けそうな球団はどこか。ジャッジやコールのいるヤンキースやカーショーやベッツのいるドジャース、ゲレーロJr.
のいるトロント・ブルージェイズは外れるし、シャーザーやバーランダーがいても勝てない金満メッツは問題外だ。ソトやマチャド、タティスJr.、それにダルビッシュがいても弱いパドレスもダメ。そうなると残る球団はいくつもない。財政基盤がしっかりしていて、スター選手はいないがそこそこ強い。
・僕はサンフランシスコかボストンと予測している。もちろんここには希望的観測という側面もある。しかし、もしそうなったら、アメリカのスポーツ・メディアは仰天して大騒ぎすることだろう。とは言え、6月末からエンジェルスは負け続けていて、プレイオフ進出の可能性が消えかけている。何しろトラウト始め故障者続出なのである。トレード話が再燃しているが、これは大谷選手には決められない話だから、どこに行くかは分からない。
2023年7月10日月曜日
大谷報道は疑問だらけ
2023年7月3日月曜日
ジャニーズ騒動に見るメディアの正体
・メディア、とりわけテレビのひどさは改めて指摘するまでもないことだが、ジャニーズ騒動での対応には、ここまで来たかと思わせられた。ジャニーズ事務所のオーナーだったジャニー喜多川による、自らスカウトした少年たちに対する性的虐待が、長い間にわたって行われてきたのに、一部の週刊誌を除いて、大半のメディアが不問に付してきた。それが話題になったのはイギリスのBBCが取り上げたからである。 ・喜多川がプロダクションを作ったのは1960年代後半で、最初のタレントは4人組みの「ジャニーズ」だった。そこから「フォー・リーブス」や郷ひろみなどの人気者を出して台頭し、80年代以降には「たのきんトリオ」「シブがき隊」「少年隊」「光GENJI」「SMAP」「TOKIO」「嵐」といったアイドル・グループを排出して、日本の芸能界を支配し続けてきた。ここにはグループから独立して、現在でもテレビで見かける人気者たちが大勢いる。 ・ジャニー喜多川による性的虐待を明るみに出せば、テレビは途端に、番組作りに困ってしまう。音楽やドラマ、あるいはバラエティーといった番組に出演するジャニーズ事務所のタレントは、それだけ大きな存在になっていた。しかもテレビだけでなく、新聞も雑誌も、この問題を隠し、遠ざけてきた。理由はおそらく、損得勘定によるものだったと思う。その根深さはBBCが大きく取り上げても、多くのメディアが無視し続けてきたことからもわかることである。 ・ネットで大きく取り上げられるようになってやっと、テレビや新聞が扱いはじめたが、まるで他人事で、自社がなぜ不問に付してきたかといった釈明をするメディアはほとんどない。このような態度はもちろん、今回に始まったことではない。原発広告と福島原発事故について、東京オリンピックと電通支配について、そして政権に対する忖度の姿勢について等々、取り上げたら枚挙に暇がないほどである。 ・テレビも新聞も、自らが社会的に影響力のある存在であるのに、そのことに対する自負も矜持もない。もちろん一貫した態度は自己保身と金儲けだけだから、責任の自覚とは無縁である。テレビの視聴率は落ち、新聞の発行部数は減り続けている。そうなればなるほど、目先の利益や保身に走るから、もう救いようのない泥沼に落ちていると言わざるを得ない。 ・しかしこのような状況はメディアにかぎらない。日本全体が今、泥沼に落ち込んでいる。で、そのことを見て見ぬふりをしているから、救いの道は見つけようがない。暗澹たる気持ちをずっと持ち続けているが、暗闇は増すばかりである。 |
2023年6月26日月曜日
陶芸を始めました
・我が家にはパートナーが製作する陶芸の工房があります。ここに引っ越してきた時に新築しましたから、もう20年以上使われています。パートナーはここでせっせと作品を作り、個展を開き、陶芸教室をおこなってきましたが、僕は陶器の製作はもちろん、粘土に触ることも一度もなかったのです。なぜなのか。 ・大工仕事や薪割りなど、他にやらなければならないこと、やりたいことがありましたし、仕事で東京に通勤して、授業の準備や校務、研究活動などもありました。ですから仕事を辞めたら始めるか、と思っていたのですが、それからすでに6年も経ちました。作りたいものが見つからないし、パートナーの領域にあまり踏み込みたくないといった気持ちがあったのかもしれません。 ・やりはじめたきっかけは、エスプレッソに入れるミルクを泡立てる陶器の口が壊れたことでした。くっつけて今でも使っていますが、自分で作ってみようかと思いはじめたのです。梅雨にはいり、自転車も山歩きもままならなくて、少し退屈だったということもありました。で、始めるぞ!と宣言したのです。 ・ろくろの手ほどきを受けて始めましたが、土は言うことを聞いてくれません。YouTubeで見ると、土殺しという、粘土をろくろの中心に置く作業をいとも簡単にやっているのですが、これがなかなか難しい。それでも何とか、小鉢とミルクを攪拌する器を作り、分厚いところを削って、それらしい形にしました。次は手びねりで灰皿とビールジョッキ。余った粘土で象を作りましたが、これは中を空洞にしなければ爆発してしまうと言われて、潰してしまいました。 ・作ったものは乾かし、素焼きをし、釉薬をつけて本焼きとなります。さてどんなものに仕上がるか。それにしても、ろくろの作業がうまくできないのは心残りです。ですから、これからも泥遊びに精出そうと思っています。70歳の手習いですが、飽きずにいつまで続けることができるでしょうか。それにしても泥遊びの後は当然、汚れます。この後片づけがなかなか面倒で、やるたびにパートナーに叱られています。そんなにきれいにしなくてもと思いますが、ここは彼女の聖域ですから、文句を言わずに、跡を濁さずと心掛けています。 |
2023年6月19日月曜日
奇妙な読書経験
黒川創『彼女のことを知っている』(新潮社)
・『日常の哲学』は友人の庭田茂吉が書いたものである。彼は哲学者でメルロ・ポンティの現象学などを専門にしている。僕にはよくわからない分野だが、彼とは学生の頃から勉強会などもしていて、一緒に話すことは楽しかった。ただし話の中身は、身の上話や下世話なものであることが多かった。極めて話し上手で、こんなことをテーマに本を書いたら売れるのに、とよく思った。最近はめったに会わないから、そんな話が懐かしく感じられるのだが、「日常」ということばが題名についた本を見つけて、読んでみようという気になった。 ・読みはじめたら、まるで話を聞いているような感じになった。映画やテレビ番組、あるいは新聞記事から取られた宇宙人に盗まれた街や対顔恐怖症、イセエビにアオリイカが話題になり、またカフカや鶴見俊輔、そして田中小実昌などが取り上げられる。話は時に何度も繰り返され、別の話題に飛び、深く哲学する。あー、たしかに、彼の話はこんな感じだったと懐かしくなった。 ・特に面白かったのは、新聞記事に載ったてんぷらの話だ。さつまいも(90円)、クジラ(100円)、大エビ(200円)………と並べられているところにおばちゃんの笑顔がある。その写真に美しさを感じ、心の底からしびれたというのである。で、その話を頼まれた講演会の話題にしたのだが、話の落ちが作れなくて大失敗をしたという落ちがついていた。うん、彼ならやりそうなことだと、笑ってしまった。 ・黒川創の『彼女のことを知っている』は小説である。物書きを仕事にする中年の男が、映画のシナリオを頼まれた話から始まる。しかしその仕事がはかどらないうちに、話は、京都の喫茶店でアルバイトをした自分の少年時代のことになる。僕はその喫茶店の常連だったから、その部分は実話として読むことになった。70年代初めにできた自由を模索する若者たちがたむろする空間で、僕の知らない内部事情なども興味深かった。ところが、この本はあくまで小説なのである。読んでいて、その辺がごっちゃになって奇妙な感覚に襲われた。 ・主人公には高校を卒業して大学に行く娘がいて、その人生の大きな転機に一人でキャンプをしたいという。父は娘一人ではと心配して、近くで見守ることにするが、娘とセックスのことについて、自分の経験をもとに話をする。それがまた、京都での話になるから、虚実の区別がわからなくなる。実際彼には娘がいるのだろうか。そんなことを考えながら読んだ。 ・カトリーヌ・ドヌーブの全作品をまとめて本にするという仕事の部分も、やたら具体的すぎて不思議な感じがした。もちろん、小説の上での話だから、こんな本は出版されていない。しかし、映画のシナリオの話と同様、これは実際に取り組んで実現しなかったことではないのか。著述で得る収入は不定期だったろうから生活が苦しかったのではないか。そんな余計な心配をしながら読むことになった。 |
2023年6月12日月曜日
季節変化が早すぎる
・それにしても季節の変化が早い。5月の末には東海地方が梅雨入りしたと思ったら、6月早々の台風である。河口湖周辺も線状降水帯に襲われて、ものすごい雨が降った。スマホには緊急避難の呼びかけ音がけたたましくなって、驚かされた。我が家は土砂崩れや浸水の被害のないところだが、松の太い枝が屋根に落ちた。他にも枝があちこち散乱して、片づけの仕事がまた増えた。
・例年なら6月中旬に花が咲く山椒バラが山中湖周辺では散りかけているという。で、慌てて篭坂峠に出かけた。スコリアの道は大水でえぐられ、枝が散乱していたが、山椒バラは満開だった。残念ながら富士山を背景にして撮ることにしている木はまだ蕾が多くて、数日後ならと思ったが、パートナーがそれらしく合成した。
・去年初めて花が3つ咲いた我が家の山椒バラは、今年はもっと増えるだろうと思ったのに2つだけだった。思うようには行かないものだが、いつもの花はあちこちに咲いている。蕗もたくさんとって、茹でて冷凍にしたし、ミョウガも早々芽を出してきた。雑草も成長が早いから、近いうちに草刈りもしなければならない。
・それにしても、湖畔に押しかけてくる観光客は多い。自転車で出かけると、レンタルのママチャリに乗った人が目立つが、そのほとんどは白人だ。富士ヒルクライムがあった日の前日には湖畔を走るロードバイクが列をなしていた。今年で19回目で、いつもなら雨や霧が多いのだが、今年は台風一過で青空のもとだった。参加人数が12000人を超えたそうで、さぞかし混んだことだろうと思う。僕もいつかは5合目まで行きたいものだと思っていたが、もう無理だろうと諦めている。湖畔を1周した後の疲れが年々増してきて、西湖には行く気にならなくなっているからだ。とは言え、運動不足にならないよう、晴れていれば出かけるつもりでいる。
2023年6月5日月曜日
なぜ政権支持率が上がるのか
・岸田内閣の支持率が上がって不支持を上回ったという。およそ信じられないことだが、さもありなんとも思う。G7のサミットでは広島の原爆資料館を案内する岸田首相や、ウクライナからやってきたゼレンスキー大統領が大きく報道されて、会議が成功裡に終わったかのように世論操作されたからだ。サミットに反対する人たちの抗議行動があって、それが機動隊によって暴力的に抑えられたのに、メディアではほとんどふれられなかった。海外のメディアに報じられたことがネットで話題になったが、新聞もテレビもまったくの無視だった。 ・ 国内の緊急的な問題があって出席できないかもと言われていたバイデン米大統領は,今回も米軍基地から日本に入った。岩国基地から広島へである。日本を独立した国と思っていないからこそできる行為だが、この点についてもほとんど批判は聞こえてこなかった。もうそれが当たり前になったかのような振る舞いだが、屈辱的なことに違いはないのである。 ・ サミットで自信を持った岸田首相については、首相補佐官にしているバカ息子が大学の友達を官邸に呼んで、大臣就任式に使う赤絨毯の階段でふざけて遊んだ様子が文春に暴露された。さすがに息子は更迭されたが、それでもたいした批判は起こらないから、首相自身は知らん顔を貫いている。自ら親族を呼んで忘年会をしたのにである。ぼんくらが傲慢になったら,これほど恐ろしいことはないだろう。 ・マイナンバー・カードについても不祥事が相次いでいる。行政機関や企業によるマイナンバーの紛失や漏えい、住民票の誤発行、あるいは悪用等々である。そのカードと健康保険証が一体化されて,医療機関ではすでにカードでの提出が行われていて、来年には健康保険証がなくなるという。任意のカードになぜ一体化できるのか。正当化できないことなのにごり押しして平然としているのはどうしてなのだろうか。そのカードに所有している金融機関の口座をすべて紐付けするといったニュースもやってきた。国民の財産すべてを国が管理するというのだから、独裁国家以外の何ものでもない。そんなひどい法案が国会で強行採決された。 ・ふざけた制度の改悪はほかにもある。介護保険制度について要介護1と2をはずして3だけにするようだ、しかも1割負担を2割にするという。それは富裕層限定だというが、その基準が年収280万円以上だというから呆れてしまう。制度があってもほとんどの人が使えないようにして、家庭で何とかしろというのである。言うまでもないが,メディアはそのことも批判どころかほとんど報じもしない。 ・収入は増えないのに物価は上がる。軍事費だけが倍増して、健康保険や介護保険といった社会制度が崩壊しはじめている。借金財政は破綻しかねない状況で、それを避けるために消費税をさらにあげようともしている。原発は60年を超えて、さらに使い続けるという。こんなひどい状況なのにどういうわけか株価はバブル期並に上がっている。もうめちゃくちゃだと思うが、選挙をすればやっぱり自民党が勝つようだ。 |
2023年5月29日月曜日
長峰山から北アルプスを望む
・ゴールデン・ウィークの喧騒もすんで気候も良くなった。で、どこかに出かけようということになって、桜の季節に新聞で紹介されていた光城山(ひかるじょうやま)と隣の長峰山から北アルプスを眺める計画を立てた。一番楽で横着なのは二つの山を車で走ることだが、残念ながら途中工事個所があって、車で行くのは長峰山だけにして光城山にはがんばって登ることにした。 ・天気は前日まで雨が降っていたのに,長峰山からの眺望はご覧の通り,素晴らしいものだった。山の名前はよくわからないが、北アルプスの北半分はきれいに眺めることができた。しかも前日までの雨で山は雪景色になったようだった。 ・光城山は頂上まで60分。登山道には桜の木が植えられていて、花の時期にはさぞ見事だっただろうと感じられた。ただ、あちこちに咲く花もあって、しんどさも程々だった。頂上には山の名前が分かる透明のシールドがあったが、残念ながら、雲に隠れて分からなかった。 ・ちなみに、甲府盆地から見えた南アルプスもきれいだった。桃の木の背後に、右から北岳、間ノ岳、農鳥岳。もう一つ,富士山も冷たい雨で雪化粧したが、森林限界に沿った波形ではなく、一直線に白くなったのは珍しかった。おそらく雪と雨の境界線だったのだろう。 |
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・ 今年のエンジェルスは出だしから快調だった。昨年ほどというわけには行かないが、大谷もそれなりに投げ、また打った。それが5月の後半からおかしくなり14連敗ということになった。それまで機能していた勝ちパターンが崩れ、勝っていても逆転される、点を取ればそれ以上に取られる、投手が...