・いつまでも暖かい冬だと思っていたら、センター試験終わった17日の夜から雪が降り始めて、40cmも積もった。その後はずっと寒い日が続いて、少しだけれど、何度か雪が降った。薪割りもできないし、もちろん自転車にも乗れない。青い空と白い山は見飽きないほど美しい。この季節ならではだが、身体はなまってしまう。もっとも大雪だけはこれっきりにして欲しいと思う。雪かきのしんどさは薪割りや自転車の比ではないからだ。何しろ、一日中の仕事になるのだから。
・立春を過ぎたから、春になるまでもう少し。季節は確実に変わるが、世の中はどうか。幸福とか平和を基準にすれば、その対局に向かってまっしぐらにすすんでいるように思える。世界全体もそうだし、日本の国内もそうだ。
・安倍内閣の支持率が50%を超えたそうだ。信じられないと思うし、やっぱりな、とも思う。TPPを一手に引き受けて交渉してきた甘利明が建設会社からの金銭授受を暴かれて大臣を辞めた。支持率が上がったのはその直後で、野党の国会での追及もマスコミの論調も及び腰になっている。後任が石原伸晃というのも悪い冗談のようだが、それに対する批判や疑念も目立つほどではない。
・アベノミクスはすでに破綻している。株価は下落しているし、それを支えようとして年金資金を投入して、すでに何兆円もの損失を出している。デフレは脱却できていないし、経済成長もしていない。借金財政の改善どころか、ばらまき政策によってますます借金を膨らませている。そんな現実を隠すために安倍首相は「一億総活躍社会」などという気持ちの悪い政策を持ち出した。国会の施政方針演説でも、「挑戦」を何度も繰り返して、みんながんばろうと鼓舞している。まるでヒトラーのようだと思ったが、演説の巧拙は比較するまでもない。
・また安倍は、去年の「戦争法案」の可決とその反対の声の静まりに気をよくしたのか憲法改正を明言し始めた。自衛隊が違憲だというなら、9条を変えればいいといった趣旨だった。しかし、その代わりにアメリカ軍にはお引き取り願って、駐留基地を縮小、あるいは廃止するなどとはけっして言わない。沖縄の辺野古基地については翁長知事を先頭にした反対の声には、まったく聞く耳を持たない姿勢を貫いている。そもそも自民党の憲法改正案は、国民の権利ではなく義務を強めたもので、明治憲法に逆戻りといったひどいものなのである。
・そんな現状に対しても、世論は静観したままである。安倍内閣に対する支持も積極的なものではなく、ほかに代わりがいないからというものが一番多い。憲法の改正(悪)には反対だし、収入が減って生活は楽ではないし、原発の再稼働には不安ばかりだが、と言ってこの現状を変える政治的な動きはまったく見えてこない。だから、現政権を支持するしかないし、悪い方向に行くのではといった不安や懸念は思わないように、考えないようにする。そんな空気が蔓延しているようである。
・その意味では、清原もSMAPもそしてベッキーも、現実から目を背けさせる格好の材料だったと言える。こんな連中のことになぜ、メディアは大騒ぎをするのか。官邸と警察とメディアが共謀してやった情報操作ではないか。今の政権なら、それは朝飯前のことだろう。
・他方でアメリカでは、大統領選挙を巡って右と左の対立が際立つような展開になってきた。共和党はトランプにしてもクルーズにしても右翼同士の戦いだが、民主党は確実と言われたクリントンへの支持が下がって、代わりに社会主義者を自認するサンダースが台頭してきた。8年前のオバマを思い起こさせるが、サンダースはすでに70歳を過ぎた老人である。「チェンジ」というには歳を取りすぎている気もするが、彼を支持するのは主に若者層で、ミュージシャンや著名人も支持の声をあげはじめている。
・そのスローガンは「革命に参加せよ(Join The Revolution)」と言った激しいもので、その「12の政策」には「1:インフラ再建、2:気候変動を抑制、3:ワーカーズコープ(労働者共同体)設立、4:貿易組合運動の育成、5:最低賃金の引き上げ、6:男女平等賃金、7:アメリカ人労働者のためになる通商政策、8:誰でも大学に通えるように(公立大無料化)、9:ウォール街への挑戦、10:人権としての医療保険、11:最も弱い立場の人を守る、12:真の税制改革」があげられている。
・サンダースが大統領になったらアメリカはどうなるか。興味津々だが、カナダにはすでに似たような政策を掲げたトリュドー首相が誕生している。この流れが世界を大きく変えていくかどうか。2016という年は、これからの世界の方向を大きく左右する一年になりそうだ。であるとすれば、日本にサンダースやトリュドーが現れる可能性はあるのだろうか。はなはだ疑問だが、日本の現状のひどさを見れば、諦めてはいけないことだと思う。