今年は暖冬だと思っていたら、1月の中旬すぎから寒くなり始めた。富士山もやっと冬らしい姿になった。最低気温が-12度なんていう日もあったが、湖面が凍結するということはない。ただし、早朝の路面は凍っている。河口湖の北側にある御坂山系の尾根には樹氷が連なっていてとてもきれいだ。(下中写真)
・「君が代」がさしたる反対もなく法制化された。小学校や中学校、そして高校の入学や卒業の時期には、必ずあちこちで「君が代」ボイコットの運動があったのに、この様変わりには驚くばかりである。猛烈な反発をおそれて自民党が出したくとも出せなかった法案や制度改革があっさり現実化してしまう。みんながおとなしくなったのか、あるいは無関心になったのか、とにかくいやな風潮である。
・「君が代斉唱」なんて場には出たくないな、と思っていたら、忌野清志郎が「君が代」をパンク風にアレンジして新譜として売り出すというニュースがあった。「おもしろいな」と興味を持ったが、すぐに、レコード会社が発売中止の決定をした。反響の大きさに、怖くなって自粛してしまったのである。日本の音楽産業の事なかれ主義は救いがたいほどだが、忌野清志郎はそのアルバムを自主発売した。なかなかやる。まだまだ悪たれ小僧のような素直な精神を持っていると思った。
・残念ながら、肝心の「君が代」は今ひとつの感じだった。しかしそれはやっぱり曲やことばのつまらなさのせいで、がんばってパンクにしようとしてもカッポレになってしまうほかはない歌なのだ。やっぱり、「君が代」は歌いたくないなと、再認識。
・このアルバムのタイトルは「冬の十字架」。ジャケットには青いシャツ、黄色いパンツ、金色のシューズ、それに赤い羽根のショールを肩にかけた清志郎がちゃぶ台に肘をついて座っている。部屋の感じからいって30年ほど昔のようだが、もちろん、本人は間違いなく現在の姿だ。で、なかなかおもしろい歌が入っている。たとえば、
川のほとりで 自殺を考えた / だけど怖いから、やめた
俺はだめな奴だ もう死んでるんだ
腐った心の持ち主 誰にも会わせる顔がない
クズクズクズクズ人間のクズ / クズクズクズクズ人間のクズ
クズクズクズクズ人間のクズ / クズクズクズクズ俺のことさ 「人間のクズ」
・もう一つ、一緒に買った頭脳警察の『1972-1991』。題名の通りBESTアルバムである。ラディカルなメッセージで伝説的な扱いを受けているバンドだが、改めて聞くと、やっぱりことばは勇ましく、サウンドはまっすぐで、期待通りに懐かしさを感じた。
・ロックは「路地裏の悪魔」として登場し「メインストリートの天使」に変身すると言ったのはイギリスの社会学者ディック・ヘブディジだが、頭脳警察は路地裏の悪魔と言うほどではないが、悪たれ小僧であることに徹したバンドだと言えるかもしれない。そのストイックさが魅力であることはもちろんだが、それがまた彼らを小さな存在にする原因にもなった。そこに行くと、忌野清志郎には客の期待に応えるショーマンシップがあって、ヴィジュアル系の先祖みたいないい加減さもあるが、それがかえってまた、現在に対する彼の誠実な態度と対照的で、スケールの大きさを感じさせたりもする。
・忌野清志郎は3月に武道館で30周年記念のコンサートをやる。ディランに遅れること10年。ずっと歌い続けていたという点では、日本では彼がやっぱり一番なのかもしれない。
私は思い知った。死んだ人間の遺していった品々と対面するほど恐ろしいことはない、と。それらは手で触れられる幽霊だ。もはや自分が属していない世界のなかで生きつづける責め苦を負った幽霊だ。たとえば、クローゼットいっぱいに入った衣服。
12月
31日:目次
22日: Merry X'mas
1日:イーヴ・ヴァンカン『アーヴィング・ゴッフマン』せりか書房
11月
16日:「恋愛小説家」"As good as it gets"
9日:秋の風景
2日:広告依頼とDMについて
10月
20日:Sting "Brand New Day",Steave Howe "Portraits of Bob Dylan"
9月
28日:ロボット検索について
1日:河口湖で過ごした夏休み
8月
11日:F.キットラー『グラモフォン・フィルム・タイプライター』筑摩書房
4日:富田英典・藤村正之編『みんなぼっちの世界』恒星社厚生閣
7月
28日:メールを通じて届いたミニコミなど
22日:Soul Flower Union "Ghost Hits93-96" ,"asyl ching dong" "marginal moon"
7日:中川五郎『渋谷公園通り』(KSS)『ロメオ塾』(リトル・モア)
6月
29日:"The People VS. Larry Flynt" "The Rainmaker" "Wag the Dog"
22日:ゼミ同窓会
15日:新しい職場で感じたこと
8日:村上春樹『スプートニクの恋人』講談社,『約束された場所で』文芸春秋
1日: Van Morrison "Back on Top", Tom Waits "Mule Variations", Bruce Springsteen "18 Tracks"
5月
21日:加藤典洋『可能性としての戦後以後』(岩波書店) 『日本の無思想』(平凡社新書)
14日: 場所と移動
6日:野茂の試合が見たい!!
4月
28日: Alanis Morissete (大阪城ホール、99/4/19)
20日:M.コステロ、D.F.ウォーレス『ラップという現象』(白水社)ジョン・サベージ『イギリス「族」物語』(毎日新聞社)
13日:職場が変わったことへの反応など
3月
24日:バイクで京都から東京まで
2月
25日:崔健『紅旗下的蛋』
17日:ABCラジオ体験
3日:A.プラトカニス、E.アロンソン『プロパガンダ』〔誠信書房)
1月
14日:R.E.M. "UP"
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